日高澄子
笹口宗子
もとマキノ・プロにいて「サザエさん(1948)」を撮った安達伸生の大映京都初演出作品、久米正雄の原作「三人姉妹の家」から脚色も安達伸生、企画は清水龍之介、出演は「男が血を見た時(1949)」の日高澄子「花くらべ狸御殿」の喜多川千鶴「地下街の弾痕」の京マチ子の三人姉妹の他に「男が血を見た時(1949)」の龍崎一郎、本作品に抜てきを機に桜英子と改名した丸山英子らである。
焼け残ったもとの屋敷に疎開先から帰って来た達夫兄妹と祖母、母はあの戦争騒ぎの中で安く手放してしまった隣りの邸に美しい三人姉妹が豪華な暮しをしているのをみてうらやみ、頭の古い祖母は得体の知れぬ女たちだと交際を禁ずる。達夫は勤務する病院で和製ペニシリンの研究に没頭していたがある夜三人姉妹の長女宗子の急病の診察を依頼され、手おくれになった盲腸炎から彼女を救うべく祖母の激しい反対を押し切って懸命の手を尽し研究完成間近のペニシリンを使って遂に成功する。それが機縁で達夫と宗子はいつか互に引かれる仲になっていった。息子娘たちの新時代的な言動と常に衝突し心を痛めた祖母が脳いっ血に倒れた時馨子は達夫を説いて高木家に看護婦として入り込む上海で特級看護婦の免許をとった技術と親身な看護にすっかり快くなった祖母は彼女の人柄にほれ込み、息子の嫁にと思うのだった。達夫のペニシリンが工業化され数百万円の権利金で宗子姉妹の勤務する会社に売れるという喜びの日、達夫は宗子とお互いの愛を語るのだった。しかしそこに訪れた悲報、上海に残っていた姉妹の父親が死んだという知らせに宗子は同じく達夫を愛している馨子の譲歩を辞退して自分達の後見をしている会社の社長林泰助と結婚し麗子も達夫の妹克子に恋人をゆずった。
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