佐田啓二
加賀見修平
隆太の巻、修吉の巻に続く第三篇で同じく菊田一夫原作連続放送劇によるもので、製作の山口松三郎も、脚本の斎藤良輔も、監督の佐々木啓祐も第一篇、第二篇と同じスタッフで、佐々木啓祐は「海の野獣」につぐ監督である。キャメラは鶴見正二の担当。出演は「四谷怪談(1949)」「花の素顔」の佐田啓二、「殺人鬼」の井上正夫「愛染草」の英百合子、それに高杉妙子、ならびに創作座の子供たちとみな第一篇第二篇に出演したものである。
復員してすぐ行方不明の弟修吉をたずねるため上京した修平は、不幸な子供たちを明るく導こうと思い探しあてた修吉や、隆太、俊次らと秦野町長やその娘由利枝の援助を得て信州の緑の丘の上に少年の家をたてて暮した。ある日クロという少年が入ってきて隆太を「お母ちゃんがよんでる」とそそのかし、隆太が出ていくと知らない男に捕えられてレビュー団に誘かいされた。そこには本当の母親がいたが今は母親は冷く隆太はさびしく旅回りを続ける。一方クロも逃亡して元のレビュー団へいったが一座は去ったあとで再び浮浪児となり病気で苦悶する。そこでまた修平に救われ、クロは暖い修平の心を知って素直な子になり、新しい先生美也子のよき助手となった。そのころ大阪から少年の家へ浮浪児の一隊が来る。とき子はその首領株だった。そのころ東京のならず者山田一家は親分の投獄されたのは修平の策動と誤解し信州の兄弟分に修平の仕事を妨害するよう依頼し土地の暴力団は後援者秦野町長を強迫し、少年の家は経営難に陥る。少年達は音楽会を開いて資金を得ようとする。だが音楽会は暴力団の妨害にあい大混乱となった。しかしその音楽会のおかげで少年留男は暴力団と立派な応待をし、参議院桜井氏に認められ養子になったし、とき子は母親とあえた。とき子が家庭へ帰ったあと仲良しだったよし坊がまたぐれ出したが、長坂先生の指導でよい子になる。そのころまた大阪から一群の子供がやってきたが、少年の家の満員なのに失望して少年たちは山へ入る。クロは帰れ帰れと少年たちを追って格闘し病気のため倒れる。少年たちはその夜野犬におそわれ救援にかけつけた修平たちに救われて少年の家へ引揚げた。旅回りの隆太からある日手紙が来た。青森からだった。クロは今こそ隆太をそそのかしたのは自分だったと許しを乞い、修平に隆太を呼び返してくれとたのむ。修平は急いで青森へ向ったがすでにそのときは隆太を乗せた連絡船は無心の汽笛を残して港を離れていった。
加賀見修平
加賀見修吉
加賀見勘造
妻
由利枝
長坂美也子
樋口早苗
若原美代子
足立
西条たか
泉沢万次
隆太
とき子の母
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