灰田勝彦
灰山五郎
「破れ太鼓」の小倉浩一郎と「彼女は答える」の杉山茂樹との協同製作で、「悲恋模様」「鐘の鳴る丘 修吉の巻」の斎藤良輔と「七彩の虹」の中山隆三との協同脚本を、「愁海棠」の中村登が監督に当る、出演者は「エノケン・笠置の極楽夫婦」の灰田勝彦、「薔薇はなぜ紅い」の鶴田浩二、「シミキンのスポーツ王」の清水金一、「悲恋模様」の月丘夢路、「足を洗った男」の桂木洋子がそれぞれ助演している。
城南大学の三人組であり、ラグビー部の選手灰山五郎、津田安吉、村川金一は、落第するのも一緒だし、喫茶店の娘あき子に熱をあげたのも一緒だった。彼等は漸く学校を出ると就職運動の苦戦の結果、灰山はキャバレーに、津田は証券の出張所に勤め先は見つかったが一人村川はいまだに職がない。三人一緒に下宿しているので村川は、毎日炊事係であった。しかし村川は下宿娘のとし子に好意をもたれ、灰山はダンサーのなつ江に、そして津田はたま子とそれぞれ交際をしていたものの、三人には一着の服しかないからそれ以上深くつき合わない、ところで三人の枕の上にはいまだにあき子の写真がかざってあった。あき子を三人ともいまだにあきらめていない証拠である。だが彼女の行方は全然わからない。しかし偶然、指圧療法の広告をみた村川は、高山権六宅にのりこんで行く一着の服をかわるがわるきてあき子を訪問した三人は、権六の指圧療法を受けて帰えってくる。一方あき子は叔父の権六に使われたり、権六オヤヂの妹およしに使われたりしていたが、憤然としてあき子は京都にたって行く。三人組の一人の津田もあき子をいさぎよくあきらめると言って同じ日に京都に出発する。そこへ権六があき子が行方不明となったと言って灰山らの下宿に飛び込んできたので、てっきり、津田とあき子の駆け落ちと思い込み、灰山、村川、権六およしの四人は京都に向った。ところが津田の家に行ってみると津田はたま子と一緒に暮していた。これは違うと、四人はあき子の知人の清三の家に行くと、あき子は清三の息子一夫と結婚すると言っていた。完全に村川と灰山は失恋してしまった。権六とおよしも逆に意見されて、しおしお帰って行った、東京にもどった村川と灰山はそれぞれとし子となつ江のもとへいち早くもどって乾杯をあげた。
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