藤田進
宇留島ドクター
結核予防協会が、都映画社とタイアップし、東宝の協力を得て製作した結核予防映画。「銀座の踊子」の田尻繁が、鈴木宇佐美、古城菅也の原案を脚本に書き監督したもの。出演者の顔ぶれには、「暴夜物語」の藤田進、「情艶一代女」の夏川静江、松竹ロビンスの大岡虎雄、その他御橋公、高堂国典、塩沢登代路、出雲八重子などが見える。
ある中学校での出来事、校医の宇留島ドクターは、あるツベルクリン反応検査の日、野球部の主戦当主の反応が陽性であったので試合に出場することを禁止した。試合を前にひかえて、先輩の松竹ロビンスの大岡選手もコーチに来てくれ、はりきっている折から、野球部員は一度だけ榎本に出場を許してやって欲しいとたのむが、宇留島先生はきかなかった。自覚症状がないため、榎本少年には、先生の処置が納得ゆかず、段々心もちをゆがませて行った。ついに、野球部の記念撮影の時に、その気持ちが爆発して、「一緒に写真を撮らないか」という友の声をあとに、その辺の椅子を蹴ちらしておいて、丘の方へかけのぼつて行った。そして丘の上から、底なしの沼といわれる泥沼の方へころげおちて行った。泥の中へ沈み込んで行きそうになった彼は、探しに来た先生方や友だちの手で救われた。泥臭い彼をいたわりながら帰路についたとき、宇留島ドクターは、たった一度位大丈夫だと、柔道大会へ親友の宮田を出場させ、勝負には勝たせたが、その宮田を死なせてしまったこと、それから自分が結核と闘う決心をしたことを語ってきかせた。榎本少年は、自分の軽率を恥じ、自重して、きっと病に打ち勝とうと決心するのだった。
宇留島ドクター
榎本少年
榎本の祖父
校長先生
巡査
大国先生
大岡選手
宮田
宮田の姉
楠見先生
出雲先生
ひろ子
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