和久井映見
千代
江戸時代の京都を舞台に、同じ長屋に生まれ育ち、早くから奉公に出された子供たちが成長していく過程でぶつかる青春の戦いや親子の情愛を描くドラマ。澤田ふじ子の同名小説（中央公論社・刊）を原作に、「母(1988)」の松山善三が監督・脚本、「まあだだよ」の撮影・斎藤孝雄や美術・木村与四郎をはじめとする黒澤組スタッフを以て作られた。
ストーリー
江戸時代の京都。宗椿長屋に暮らす人々は一つの大きな家族のように協力しあって暮らしていた。子供たちは一〇歳にもなると職を求めて世間に旅立つ。妻を失くした提燈職人・九兵衛の家では千代ときくの兄である富士太が既に下駄職人の見習いをしており、今またうどん屋夫妻・勘助と粂の子供、彌市が染め物屋へ、その妹あきは漬物屋へ、また傘張り職人の忠七・さだ夫婦のひとり息子の宗吉が宮大工になるべく長左衛門のもとへと奉公に出ていった。七年後、大事件が起こる。後妻・琴を迎えた九兵衛が、娘たちを遊郭へ売ると言い出し、怒りのあまり富士太が父と義母を殺してしまったのだ。奉行所同心・庄兵衛の好意や長屋全員の嘆願も空しく富士太は処刑となり、千代ときくは錦小路の魚屋のおかみ・糸栄のもとに引き取られた。今度は扇絵師夫妻・式部と伊勢の娘の貴和が貧困のあまり島原へ売られてしまう。宗吉は彌市らと手を組み、貴和を救い出そうとするが、そのためには三十両もの大金が必要だ。それを工面したのは千代だった。だがその金は、糸栄の息子・信之助のやくざな生活から改心して千代と所帯を持ちたいという願いに応じることで工面したもので、千代は、相愛の仲だった宗吉と一緒になることを断念しなければならなくなった。納得できない宗吉はもがくが、長左衛門は彼を諫める。昔の子供たちは、こうして成人になっていった。
キャスト
渡部篤郎
宗吉
水野真紀
貴和
大森嘉之
彌市
渋谷琴乃
きく
高嶋政伸
富士太
長塚京三
忠七
浅利香津代
さだ
川谷拓三
勘助
秋篠美帆
粂
村井国夫
九兵衛
佳那晃子
琴
乃生佳之
彦十
佐野史郎
信之助
平田満
磯七
山本學
式部
星由里子
伊勢
田中邦衛
庄兵衛
北大路欣也
長左衛門
池内淳子
糸栄
スタッフ
監督、脚本
松山善三
原作
澤田ふじ子
製作
小川安三
製作総指揮
吉田稔
撮影
斎藤孝雄
音楽
甲斐正人
美術
村木与四郎
編集
川島章正
照明
佐野武治
録音
橋本文雄
助監督
森谷晁育
プロデューサー
小滝祥平
プロデューサー
藤田義則
スチール
石月美徳
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 製作年
- 1993年
- 製作国
- 日本
- 配給
- 東宝
- 初公開日
- 1993年10月9日
- 上映時間
- 115分
- 製作会社
- 小川企画作品（製作協力＊デスティニー）
[c]キネマ旬報社
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