中井貴一
合田雄一郎
連続殺人事件とその裏に潜む大きな影の存在に、真っ向から戦いを挑む捜査員たちの姿を描いたサスペンス。原作は第109回直木賞を受賞した高村薫の同名長編小説で、監督は「平成無責任一家 東京デラックス」の崔洋一。95年度キネマ旬報ベストテン第9位。(R指定)
東京・目黒区八雲で、暴力団吉富組元組員の畠山宏が殺害される事件が発生した。遺体の頭部には、直径1センチ程の特殊な穿孔が認められ、それは事件の異常性を物語っていた。この事件には、有能ではあるが少々強引なところもある合田雄一郎警部補をはじめとする警視庁捜査一課七係が担当となり、捜査が開始された。畠山のアパートなどから、シャブと30口径のカートリッジ、分不相応な大金を押収。さらに、それに関連するような人物が畠山宅を訪問していたというタクシー運転手からの証言を得た合田たちは、畠山の住所を正確に知っている人物を洗うのだった。数日後、今度は北区王子で法務省の刑事局刑事課長の松井浩司が殺される事件が起こった。頭部の傷が畠山のものと酷似しているとの報告をうけた合田は、大塚監察医務院に急行すると、独断で解剖を許可してしまう。ところが、それを知った王子北署の須崎靖邦警部補が、合田の勝手な行動に怒りをぶつけてきた。彼は本部からの連絡で、解剖を引き延ばすよう指示されていたのだ。情報を流さない互いの捜査の仕方に、ライヴァル意識剥き出しの合田と須崎。しかし二人は、この事件の裏に潜む得体の知れない者からの圧力を感じずにはいられないのだった。青山斎場での松井の葬儀は厳しい管理の下で執り行われ、彼らの動きは封じ込められてしまう。辛うじて有沢が入手した式次第から松井の経歴などが明らかにされ、畠山と松井を結んだ線上に林原雄三という弁護士が浮ぶ。林原は畠山の弁護士であり、松井とは修學院大学螢雪山岳会の同期という人物だった。この男が事件の鍵を握っていると睨んだ合田は、接触を禁じられた須崎と密会。修學院大学螢雪山岳会という名を須崎に流す。だが、それについて調べを進めていた須崎は、皇民憂国の会の片桐義勝と名乗る男に刺されてしまった。一方、林原の留守に聞き込みを行った合田と有沢は、事務員と銀行員の会話から林原が恐喝されている疑いを持つのだった。またその頃、高木真知子という金町病院に勤める看護婦が、チンピラの銃弾に倒れ重傷を負うという事件が発生していた。その犯人が畠山と同じ吉富組の人間だったことから、合田たちは彼女の身辺を洗い、彼女が以前勤務していた精神病院の元患者で、今は同棲相手の水沢裕之という若者の存在を知る。精神病院時代に浅野剛という患者と肉体関係にあった裕之は、浅野から“MARKS”の秘密を聞かされていた。MARKSとは、学園闘争中に起こった内ゲバ殺人事件の実行犯・野村久志殺害・死体遺棄事件に関与したメンバー(松井浩司、浅野剛、林原雄三、木原郁夫、佐伯正一)の頭文字を取った暗号だった。エリート集団のMARKSたちは、生活ランクの違う野村から内ゲバ事件が世間に漏れることを恐れ、野村を北岳で殺害したのであった。しかし、その後も野村殺害事件の恐怖に脅える浅野は、精神に異常を来して入院。何食わぬ顔をしてハイソな生活をしている松井や林原らに同じ苦しみを味わそうと、恐喝を開始したのである。ところが、その浅野が病院の監視員に暴行をくわえられて死亡した。浅野の愛人だった裕之は、事件の模様を綿密に綴った浅野の日記を受け継ぐことにより、彼に代わって林原らをゆすり続け、それが今回の殺人事件の発端ともなったのである。裕之は、林原によって送り込まれた刺客・畠山を反対に殺害。さらに自分の恐ろしさをアピールするために松井をも殺したのであった。そして、一度は大金をせしめることに成功した裕之だったが、真知子を傷つけられたことにより再び精神錯乱状態に陥り、林原に接近して、佐伯を殺害、木原を自殺へ追い込むのだった。裕之に関する真知子の証言から、大金と凶器と見られるアイスハーケンを押収した合田たちは、林原による捜査への圧力を交わし、裕之を林原恐喝、及び畠山、松井両名殺人事件の犯人と断定。北岳に逃亡したとされる裕之を追跡する。雪の残る山頂で、誰よりも早くそこへ辿り着いた合田は、真知子の白衣を抱きかかえ凍死している裕之を発見するのだった。
合田雄一郎
水沢裕之
高木真知子
林原雄三
肥後和己
森義孝
吾妻哲郎
林省三
須崎靖邦
木原郁夫
花房課長
有沢三郎
吉原康
浅野剛
竹内管理官
山口
佐多
若い頃の林原
佐伯正一
野村久志
寺島純一
須崎の妻
松井浩司
畠山宏
片桐義勝
西山富美子
監督、脚色
原作
製作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
編集
衣装
照明
録音
助監督
プロデューサー
アソシエイトプロデューサー
音楽プロデューサー
音楽プロデューサー
調音
スチール
スチール
脚色
スクリプター
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