脚本、演出
“おばんざい”と呼ばれる京都の一般家庭の日常のお惣菜を通じて、かつての日本人の生活様式の中心にあった、独特の食文化について見つめ直した作品。正月の雑煮とおせち料理に始まって、七草粥、1月15日の小豆粥、骨正月のブリのアラで炊いた大根、節分の潮鰯、初午のいなりずしと畑菜のからしあえ、桃の節句のひちぎり、春祭につきもののさばずし、祗園祭のハモづくしの御馳走、秋の観月の夕べにすすきと団子、10月20日のゑびす講の大祭のはんぺんとネギの膳、針供養の豆腐と大根のこんにゃくの白和え、冬至のかぼちゃといった具合に、一年間を通してさまざまな行事が行われるのに合わせて作られる数々の料理が、色とりどりに紹介されている。京都の食文化が日常生活の習慣と密接に結びついていたことをあらためて感じさせる一本。96年度キネマ旬報文化映画ベストテン第9位。
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