藤田まこと
中村主水
1972年から20年間に渡って放送されたテレビ時代劇『必殺!』シリーズの5年ぶりの劇場版第6作。監督は初期テレビシリーズから『必殺!』にかかわり、劇場版第1作「必殺!」も監督した貞永方久。脚本は「復活の朝」の吉田剛、撮影は「忠臣蔵外伝 四谷怪談」の石原興がそれぞれ担当している。音楽はシリーズ全てを手掛ける平尾昌晃。『必殺!』の代名詞ともいえる仕事人・中村主水にはテレビ版同様に藤田まことがふんし、三田村邦彦、菅井きん、白木万理、中条きよしらテレビのレギュラー陣に加え、名取裕子、津川雅彦、東ちずる、野村祐人、細川ふみえら多彩な顔触れのゲストが華を添えている。
仕事人仲間のおけいと不義を重ねていた中村主水は、家庭を捨てる覚悟で新たな生活を準備していた。そのころ、葛飾北斎が謎の死を遂げ、娘のお栄は犯人捜しを主水に相談する。主水は北斎の描いた似顔絵にそっくりの大道芸人・捨蔵に町で出会った。捨蔵は男の身なりをしているが実は女で、三味線ひきの養母・お夢に育てられている。お夢は20年前の傷がもとで記憶を無くしてしまっていたが、実は主水の昔馴染みの仕事人・お千代だった。同じころ、大奥では上臈年寄の姉小路が元老中・水野忠邦と組んで、将軍家世継の家定の双子の片割れを捜し出し、お家を乗っ取ろうと企んでいた。その動きを察知した家定の母・お美津は、大奥掃除人の元締め・権の四郎とその息子・清太に片割れの抹殺を命じ、清太はその始末をおけいに依頼した。ところが、この双子の片割れというのは捨蔵のことだったのである。捨蔵の似顔絵を描かされた北斎は、口封じのために姉小路らによって謀殺されたのだった。主水はおけいを通じて四郎と会うが、その男は主水がかつてお千代をめぐって争った宿敵・清吉だった。清吉はお千代を妻としたが、やがて生まれた清太の父親が主水だと思い込み、20年前にお千代を殺そうとしていたのである。四郎に捨蔵暗殺を思いとどまらせた主水は、おけいともども協力して姉小路と忠国を討つことになった。そんなおり、お千代と捨蔵が芸を披露するため大奥に招かれ、主水もその席に並んだ。捨蔵が女であることを知った姉小路は、もう用はないと斬り捨てようとしたが、主水たちがそれを救う。しかし、四郎は裏で主水の命を狙っており、仕事を終えたおけいが殺されそうになった。主水は罠と知りつつ、四郎のもとへ向かう。四郎は清太に主水を討たせようとしたが、記憶の戻ったお千代は清太の父は間違いなく四郎だと告げた。混乱した四郎は自分に逆らう態度を取った清太を絞め殺し、主水との一騎打ちに望む。主水は宿命の対決に決着をつけたが、自分たちの運命をはかなんだお千代に背後から刺され、断末魔の四郎が放った爆薬に吹き飛ばされるのだった。主水を追ってきた秀、勇次、おけいは、燃え上がる炎をただ見つめていた。
中村主水
秀
せん
りつ
勇次
お夢(お千代)
捨蔵
権の四郎(清吉)
清太
おけい
葛飾北斎
お栄
水野忠邦
姉小路
秦野平之進
お光津
梅川月之丞
監督
脚本
ナレーター
製作
撮影
音楽
美術
編集
照明
録音
助監督
企画
プロデューサー
プロデューサー補
歌
スクリプター
[c]キネマ旬報社