川瀬陽太
飯沼思美香
人間の新たなパワーを引き出そうとする科学者集団の姿を描いたサイキック・ホラー。監督・脚本は「ピノキオ√964」の福居ショウジンで、明滅するモノクロ映像、エログロありの装飾、増幅音声、絶叫演技といった特異なスタイルで彩られる。ロッテルダム国際映画祭に正式出品され、賛否両論を巻き起こした。R指定。
思美香、本宮、一ツ橋、あかりの四人は、ある巨大企業のスポンサーをバックに、ラバー・ユニットというシステムとエーテルという強力な薬物と爆音によって人間から超能力を引き出す実験を繰り返していた。大勢の被験者の犠牲にも関わらず研究は進まず、ついにスポンサーは実験から手を引く方針を決定する。その通告と精算のため秘書のキクが研究センターを訪れた。これを知った本宮と一ツ橋は焦り、残されたわずかな時間で研究を完成させようと、密かに以前から被験者としていた思美香の最終実験を行う。この実験を目撃したキクは本宮らに拉致され、拷問機械に縛りつけられた。濃度の高いエーテルを次々と打ち込まれた思美香は、キクの絶叫を触媒として力を発揮し始める。その力は彼らが思っていたものよりもはるかに強く、思美香とキクは互いに反応してふたりで力を放ち本宮・一ツ橋・あかりたちを襲っていった。思美香とキクはセンターを後にして街の中へ逃れ、廃屋に身を隠した。その報告を受けたスポンサーの側近・谷崎は、思美香と関わったある秘密が暴かれるのを恐れ、思美香を追う。思美香は副作用によって苦しんでいたが、その副作用と増幅された力とによって失われていたはずの記憶が甦った。思美香はかつて谷崎とともにグロテスクな悦楽にひたっていた。この記憶によって力を制御できず思美香は絶命する。思美香を失ったミカは、自分たちの秘密を収めたフィルムを回収しようとやって来た谷崎を、その力で粉砕した。
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