石黒紀之
石黒
予備校の学生寮の退屈な1日を、軽妙な科白と淡々とした映像とで綴った短編。監督は「月島狂奏」の佐藤信介で、本作でPFFアワード'94のグランプリを受賞している。BOX東中野の“インディーズBOX/Vol.1”の中の1本として公開された。94年製作。16ミリ。
とある予備校の学生寮。隣室の橘の成績が急に上がり出したのは特別な薬を服用しているからだという噂を聞いた篠原は、ルームメイトの石黒を誘って隣室への侵入を図る。机の上に錠剤を発見した篠原は遠慮なしにそれを戴き、嫌がる石黒にも強引に一錠押しつけた。部屋を出ると、石黒の妹の香織が田舎から送って来た荷物を持って現れたところだった。荷物を置いてすぐに帰ると言う香織を、篠原はバス停まで送ると言い出した。石黒は仕方なくついて行くことにする。香織と篠原は、ぎこちないがなんだかいい雰囲気だった。寮に戻った石黒は昼寝を始めた篠原を横目に勉強に勤しむが、ふとさっきの薬が気になって、それを飲んでみることにした。しばらくして、石黒は机につっぷして眠りに落ちていた。寮の午後は今日も平和だ。
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