生頼愛子
弥生
都会に暮らす四人の若者と、一人の中年男との間の二つの三角関係をめぐる愛憎劇。8ミリ映画出身の荻野洋一の初の16ミリで、劇場公開第一作。脚本は荻野と新藤朝子の共同、撮影は「草の上の仕事」の上野彰吾が担当。16ミリ。
弥生には弥太郎というボーイフレンドがいるが、うまくいっているのか傍目にはよく分からない。彼女は姉の妙からすぐ来てくれという電話をもらう。パトロンに恋人・拓の存在がバレて去られてしまい、拓の方も外国へ行くことが決まって、妙はすっかり荒れていた。そこへ拓が現われ、妙を愛撫し始める。折悪く、去ったはずのパトロンも戻ってくるが、ソファ上の二人を見て卒倒する。どうやら心臓麻痺で死んだようだ。三人は遺体を川に捨てて、妙は拓と外国へ。残された弥生がゲームセンターに行ってみると、弥太郎が夜通し待っていた。二人は仲良く帰るが、その頃、死んだはずのパトロンが街を彷徨っている。彼らはすれ違うが、お互いの存在に気付くべくもない。
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