クレア・ウィンザー
Mildred
ルイス・ビーチ氏作品の舞台劇に基いてアグネス・クリスティン・ジョンストン女史が脚色し「新婚の危機」「惑溺の十字路」等と同じくホバート・ヘンリー氏が監督したもので主役は「愛の大雪嶺」「黎明のサハラ」等出演のクレア・ウィンザー嬢で、「囁きの小径」「青春の美酒」等出演のウィリアム・ヘインズ氏と「突貫花婿」等出演のバート・ローチ氏とが共演するほか、ロバート・エイニュー氏、故ルシル・リクセン嬢、エドワード・コネリー氏、エミリー・フィッツローイ嬢等が出演する。
1897年のことである。米国のある町のことである。ミルドレッドという美しい乙女が恋をした。相手の男は力はあったが金のないライマン・ウェッブという若者だった。彼女の母親レナは貧乏人を好かなかった。レナが選んだ娘の婿は太っちょのお金持アーサー・ライアンであった。折しも米西戦役が勃発しライマンは若き血に燃えてルーズヴェルト騎馬隊に参加した。彼は出征先のキューバからミルドレッドに宛て手紙を出したがレナは娘に渡さなかったのでミルドレッドはライマンに忘れられたと思い込んだ。その時ミルドレッドの弟ジーンは良くない女に引掛かり困じ果てた父親ジェームズは手切金の工面が出来ず銀行の金を無断で借用した。父の罪が暴かれそうになった時ミルドレッドはアーサーに金を借りた。当然の帰着として彼女はアーサー・ライアン夫人となった。かくて幾春秋ミルドレッドの娘ドロシーが二昔前の母のような美しい乙女となった。ドロシーはビリーという若い飛行家と恋を語る仲となった。ビリーは北極探検飛行に加わることになりミルドレッドに向って御娘と結婚したいと申し入れた。夫アーサーと真の愛に生きることが出来なかったミルドレッドにとって娘は唯一人の愛の対象であってみれば、冒険欲にかられて地球の果まで飛んでいこうとする男に大切な娘を託することは母として思慮無きわざと感ずるのであった。ドロシーは怒り泣き叫んだ。その愛の叫びはミルドレッドをして思いを過ぎし昔に返らしめた。彼女は若き米西戦役の勇士を愛ししかもその初恋を捨てたために如何に感激に乏しい結婚生活を送らねばならなかったかを顧みた。そうして娘とその愛人との手を結び合せて彼らの幸福を祈った。
Mildred
Lyman_Webb
Arthur_Ryan
James_Hucking
Rena_Hucking
Dorothy
Billie
Gene_Hucking
Aunt_Effie
Rosie
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