桐かおる
桐かおる
〈レスビアンショー〉では日本一といわれる桐かおるの妖艶な舞台と私生活を実録風に描く。脚本は宮原和男、監督は「昼下りの情事 噂の看護婦」の藤井克彦、撮影は「花と蛇」の安藤庄平がそれぞれ担当。
スポットライトを浴びて、薄暗い舞台上にポッと浮き出る、抱き合ったままの二人の女。からみ合い弓なりにそり返り、右へ左へとのたうち廻り、興奮の海の中へのめり込んでいく。桐かおる一座は、レスビアンショーを出し物にして全国を渡り歩いてる人気一座である。座長の桐かおるは私生活でも、レスビアンの男役の春日トミと関係している。ある日、桐は京都にあるバー「小夜」に出かけた。そこのママおさよも桐に惚れている女の一人だった。そこで桐は新入りのホステス、ミチに目をつけた。桐はミチを外に連れ出し、酒を飲ましホテルへ連れ込んだ。桐の巧みなテクニックによって、ミチは男からは得られない恍惚に浸ったのだが桐は快感を得ることはなかった。ミチは相手を喜ばすテクニックをまだ知らないのだ。翌朝、桐が体裁悪そうに家に帰ると、トミはこまごまと掃除や片づけをしている所だった。このトミもやはりミチと同じように、別府のバーで見つけた娘だった。一方、ミチが翌日、「小夜」に出勤すると、ママのおさよは狂ったように怒った。桐と寝たミチへ嫉妬しているのだ。そして、勝気なミチとおさよの激しいつかみ合いの喧嘩が始まった。そこへ、ひょっこり現われたのは着流し姿の桐だった。数時間後、ネオン街の片隅に酔いつぶれ泣きくずれて、桐とミチの姿を追うおさよの姿があった。そしておさよはその夜、見知らぬ男二人に身を投げだし、始めて男を知るのだった……。
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