脚本、演出、製作
土壌微生物の種類である粘菌と呼ばれる菌の生態を追った科学映画。一般には聞き慣れない真正粘菌と呼ばれるその生物は、光合成色素、葉緑素を欠いた菌で、多くは固形物を摂取して細胞内消化を行う、菌類と原虫類の性質を兼ね備えた植物の総称である。日本国内だけでもその種類は400を越えるという。しかし、真正粘菌は高度に進化した多細胞生物ではない。にもかかわらずその原始的とも言える生き方は、他の生物にも見られない独特のものがあり、進化の謎を解き明かす多くの鍵が秘められていると考えられる。不可思議な生命力を持ったこの菌を、3年間にわたってさまざまな角度から追い続け、その全容に迫ろうとした力作。演出は「細胞性粘菌の行動と分化-解明された土壌の生態-」の樋口源一郎。第38回科学技術映像祭優秀作品賞(科学技術庁長官賞)受賞。97年度キネマ旬報文化映画ベスト・テン第2位。
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