クリシー・ロック
Maggy
社会福祉の名のもとに親権を取り上げられた女性の法権力と社会に対する闘いを描く、実話を基にした人間ドラマ。監督は「ケス」「レイニング・ストーンズ」のケン・ローチ。製作のサリー・ヒビン、撮影のバリー・アクロイド、美術のマーティン・ジョンソン、編集のジョナサン・モリスはいずれも「リフ・ラフ」「レイニング・ストーンズ」でローチと組んだスタッフ。脚本は演劇を中心にテレビ・ラジオで活躍歴のあるロマ・ムンロで、本作が長編劇映画デビューとなる。音楽は「フィッシャー・キング」などのジョージ・フェントン。主演はリヴァプール出身のコメディアン、クリシー・ロックと、実際にチリからの政治亡命者で、その後イギリスでミュージシャンとして活動しているウラジミール・ヴェガで、ともに映画初出演。94年ベルリン国際映画祭で銀熊賞(準グランプリ)、主演女優賞(クリシー・ロック)を受賞。
マギー(クリシー・ロック)はカラオケ・バーでスペイン系の青年ホルヘ(ウラジミール・ヴェガ)と知り合う。終バスに乗り遅れた彼女はとりあえず彼の家に行くことになり、彼に自分が社会福祉局に四人の子供たちを取り上げられた話を始め、やがて激しく泣き崩れる。母国パラグアイで弱者の権利を守ろうとしたため亡命の身となったホルヘは、彼女を愛を感じる。マギーはお人好しで全員父親の違う四人の子供と貧しいながら幸せに暮らしていたが、新しい夫のサイモン(レイ・ウィンストン)の暴力に耐えかねて友人の家の近くに隠れ住んだのだが、そこで彼女がたまたま留守にしたときに火事が起こって長男が重傷を追い、これをきっかけに養育能力なしの判定をうけたのだった。ホルヘの優しさにマギーの心もほぐれ、彼の子供を身籠り、二人は同居する。やがて娘のゾエが生まれた。ところが社会福祉局は彼女の元に置いては赤ん坊は危険だと判定し、またもや子供を奪っていった。子供を取り返すため、ホルヘはマギーを説得して福祉局の職員に事情を説明するが、彼らがホルヘの言葉のことなどで失礼な質問をするのでマギーは怒りを抑えきれない。裁判では隣人の人種偏見に凝り固まった老女が、ホルヘがマギーに暴力を振るうのをみたなどと事実無根の証言をする。だがマギーがあまりに率直に怒りを現すこと、それにホルヘの不法滞在が問題になり、二人はゾエを奪われた。しかしマギーは再び子供を身籠る。ホルヘにも晴れて滞在許可が出た。今度も愛らしい娘が生まれるが、福祉局はまたもやこの子を保護してしまう。ホルヘが興奮するマギーを押さえることしかできなかったので、彼女は彼を激しくなじるのだった。(字幕:マギーとホルヘの間にはさらに三人の子供が生まれ、二人はこの子たちの養育を許された。だがマギーの6人の子供とは、面会もまだ許されていない。