マリアンヌ・フェイスフル
Rebecca
恋人の元にバイクを走らせる若い女の心象風景を、実験的な映像で描き出し話題を呼んだ異色作。監督・撮影・潤色は「黒水仙」(46、アカデミー賞撮影賞受賞)はじめ名キャメラマンとして名声を馳せたジャック・カーディフ。主演は「ショッピング」(94)など歌手・女優として活躍するマリアンヌ・フェイスフルで、公開当時“ローリング・ストーンズ”のヴォーカリスト、ミック・ジャガーの恋人として、彼の子を私生児として出産するなど、スキャンダルになった。日本初公開(68年)当時は、過激としていくつかのセックス場面がカットされたが、今回はオリジナル・ノーカット英語版での再公開となった。原作はアンドレ・ピエール・ド・マンディアルグの『オートバイ』を基に、ロナルド・ダンカンが脚本を執筆。音楽はレス・リード。美術はスチュアート・フリーマン。編集はピーター・マスグレイヴ。衣裳はランヴァン=カスティーユ。共演は「カサノヴァ 最後の恋」のアラン・ドロン。
朝、小鳥のさえずりは聞えているが、まだ完全には明けきっていない。軽い寝息をたてている夫レイモンの傍を離れると、レベッカ(M・フェイスフル)は黒皮のレーサー服に裸身をすべりこませ、部屋を出た。裏庭の車庫から、ディオニソスと名づけた一二〇〇CCのオートバイを引きだすと、ハイデルベルクへ向けて出発した。ハイデルベルクには、恋人ダニエル(A・ドロン)がいる。四ヵ月前、レベッカはレイモンとの婚約旅行のスキーの宿でダニエルをみた。ダニエルは、レベッカの父が経営する本屋に、しばしばあらわれる大学の教師だった。その夜、レイモンはレベッカの部屋に入ってきたが、寝入ったふりをしていた彼女に、軽い口づけをしただけで立去って行った。そしてしばらくして、バルコニーから一人の男が入ってきた。レベッカはその男にだかれた。彼女は、その男がダニエルであることを知っていた。旅行から帰ってから、ダニエルは再びオートバイを駆って来た。父親の許可を得、レベッカを連れだすと、田舎のホテルの一室で彼女を抱いた。その帰り彼女はオートバイの乗り方をダニエルに教わった。その時から、彼女はオートバイに魅せられた。数日後、レベッカはレイモンと結婚した。その時、ダニエルはディオニソス号を彼女におくった。彼女は、そのディオニソスを駆って、今、ダニエルに会いに行こうとしている。彼女は想像する。数分後にダニエルに抱かれている自分を。がその瞬間、大型のトラックがオートバイもろとも彼女をはねとばした。一瞬、レベッカの身体は、空中にとんだ。
Rebecca
Daniel
Rebecca's Father
Catherine
Raymond
監督、撮影、台詞
脚本
原作
製作
音楽
美術
編集
衣装デザイン
字幕
[c]キネマ旬報社