エスター・ロールストン
Kitten_O'Day
「近代女風俗」と同じくドロシー・アーズナー女史が監督したエスター・ラルストン嬢主演映画で、ジャック・レイト氏が書き卸した物語をドリス・アンダーソン女史とがポール・ガンジェロン氏とが脚色したもの。ラルストン嬢を助けて「ある男の一生」「ボー・ジェスト(1927)」等出演のニール・ハミルトン氏を始めアーサー・ホイト氏、ジヨスリン・リー嬢、エル・ブレンデル氏等が出演し、オリオン・モーガンのダンサー連が数十名出演している。
中学時代に級歌を作ったことのあるトッド・ギルバートは学校卒業後作曲家として身を立てようと決心しニューヨークへ出て来た。そしてキッテン・オデーとしう娘の伯母さんが経営している下宿屋に部屋を借りた。キッテンは女中代わりに働いていたが、芸人たちが多勢下宿しているので自然芸事に通じ、ダンスなども相当にうまく女優になることは出来ないでもなかったが、そんな気は露ほどもなかった。けれどもトッドが下宿してからというものは彼女は彼のために如何なる便宜をも計ってやり他の下宿人の品物まで無断借用に及ぶという有り様だった。トッドは幸福にひたり乍ら「アイム・イン・ザー・ダーク」という歌を作曲し、当時ニューヨーク第一の人気女優シヤロン・リーに歌って貰おうと、それを事務所へ送ったが封も切らないで返送して来た。キッテンはトッドを慰め自らその歌曲を携えてシヤロン・リーの劇場支配人ジョージ・デイスブローに面会を求め苦心の結果それを採用させることに成功した。がそこには1つの条件があった。ディスブローはシヤロンに付纏われるのを防ぐ手段としてキッテンに情婦の真似をして貰おうというのだった。歌曲採用が大眼目であるところのキッテンはその申し出に応じ喜び勇んで帰って見ると、部屋代の払えぬトッドは何処かへ引っ越してしまていた。作者の承諾無しには歌は舞台にかけられないというのでディスブローは探偵を雇ってトッドの行方を捜させた。処がトッドは毎日ディスブローの事務所に歌を売りに来ては玄関払いを食っていたのだった。しかしある日彼はピアノ整調師に化けて舞台裏に入り自分の歌がキッテンの努力で採用サレていることを知った。そこで彼はディスブローに逢って契約しようという段取りになったが、キッテンに快からぬシヤロン・リーがディスブローとキッテンとが醜関係があるようにトッドに告げたので、トッドはディスブローも逢うや否や鼻柱をドヤした。ディスブローは火のように怒ってトッドの歌は使わぬと言い出したのが初日の蓋を開ける午後のことだったので、キッテンはディスブローを一室に閉じ込めてトッドの歌曲を上演して大成功を収め万事円満に解決した。
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Tod_Gilbert
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