ブラッド・ピット
リック
1988年の夏、当時のユーゴスラヴィアで撮影されたが、編集作業が完成する前に内乱でフィルムがバラバラになってしまったのを、プロデューサー、アンジェロ・アランジェロヴィッチが、戦時下のバルカン諸国などを5年も捜索した末に、ようやく発見した幻の映画。監督はボジダール・ニコリック。製作はアンジェロ・アランジェロヴィッチ、ボリス・ニチョフ、ドスコ・ミハイロフ。脚本はアンディ・ホートン、ゼリコ・ミヤノヴィック。主演はこれが初主演作となる「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のブラッド・ピット。当時の彼は、まだコマーシャル数本と、『ダラス』などのテレビシリーズにいくつかゲスト出演したことがあるだけだった。共演は「今夜はトーク・ハード」のシェリル・ポラック、「ルーカスの初恋メモリー」のガイ・ボイドほか。
アメリカ人青年リック(ブラッド・ピット)は、日光に当たると死んでしまうという奇病を背負っている。そのために全身を皮のスーツで常に覆っていなければならず、自分の素顔すら見たことがない。彼は父親(ガイ・ボイド)とアドリア海に旅し、ある村で治療法を教わるが、それはわずか3日しか持たないというものであった。しかしリックは、一生病魔に苦しめられ太陽の気持ち良さを知らないで生きるよりも、たった3日間の自由な生の方を選ぶ。まもなくしてリックは、アメリカ人の女の子(シェリル・ポラック)と恋におちた。最初はスーツ姿の自分と、素顔の自分を使い分けて付き合っていたが、死期が近づいてきたのを感じると、リックは彼女にすべてを伝えた。そしてリックの皮膚は太陽に冒され始めた。彼はバイクを走らせ、家族と恋人に永遠の別れを告げるのだった。
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