アリアーヌ・シュルター
Johanna
一枚のドレスが人間の隠された欲望に次々と火を点けていく様を描いた、ユーモラスでブラックな異色作。監督・脚本は「アベル」のアレックス・ファン・ヴァーメルダム。製作はマルク・ファン・ヴァーメルダム。撮影はマルク・フェルバーラン。音楽はヴィンセント・ファン・ヴァーメルダム。出演は舞台やテレビで活躍しているアリアーヌ・シュルター、「アベル」「八日目」のアンリ・ガルサン、「アベル」のオルガ・ツイダーフク、『De Kersenpluk』のリッキー・クール、そしてアレックス・ファン・ヴァーメルダム監督自身が車掌の役で出演している。96年ヴェネチア国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞。
恋人には逃げられ、仕事のデザイン案は不採用になってしまうという最悪の朝を迎えていた生地デザイナーのクレーマーは、やけくそで偶然外にいたインド人女性のドレスの柄をそのまま登用し、新しいデザイン案として提出する。クライアントのローマン既製服社では、その新しいデザイン案をめぐって社長と重役のファン・ティルト(アンリ・ガルサン)が意見を対立させていた。けっか、社長はクレーマーのデザインを採用、ファン・ティルトはクビになった。そしてそのドレスが完成。最初にそれを買ったのは61歳の女性ステラ(エリザベス・ホイティンク)だった。しかしそのドレスを着たステラは突如性的に興奮しはじめ、息を引き取ってしまった。ステラの死を見届けるようにして、風に飛ばされていくドレス。次にドレスを着たのはヨハンナ(アリアーヌ・シュルター)だった。そして列車の車掌デ・スメット(アレックス・ファン・ヴァーメルダム)が、ドレス姿の彼女を見て激しく欲情してしまう。デ・スメットはヨハンナが画家の恋人ヘルマンと暮らす家に忍び込み、ヨハンナを脅し、翌日のデートを約束させる。次の日、間一髪でデ・スメットから逃げたヨハンナは、今度はバスの運転手に襲われる。何とか逃げ帰ったヨハンナは、汚れたドレスをリサイクルに出してしまった。そのドレスを少女シャンタル(リッキー・クール)が買った。彼女もまたデ・スメットに襲われる。翌朝、デ・スメットから逃れたシャンタルは、ドレスの入った荷物をホームレスの女(オルガ・ルイダーフク)に盗まれる。このマリーに思いを寄せていたのが、ローマン既製服社の元重役ファン・ティルトであった。やがてマリーはドレスと共に死んでしまう。ある日の美術館。その一角にヘルマンの作品が飾られている。その絵の中には、例のドレスを着た女が描かれていた。そこに現れたのがあの車掌デ・スメット。彼はナイフでドレスの部分を切り取ろうとし、警備員たちに連行されていくのだった。
Johanna
Van Tilt
Marie
Chantalle
De Smet
Stella
[c]キネマ旬報社