金城武
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殺し屋になって成長していく不良青年の姿を描いた一編。監督は本作がデビューのパトリック・ヤウ。脚本は「大陸英雄伝」(監督)のワイ・カーファイ。出演は「天使の涙」「世界の涯てに」の金城武、「欲望の街・外伝 ロンリーウルフ」のカルメン・リーほか。
その日暮らしな生活を送る武(金城武)は、雀荘で喧嘩をふっかけて叩きのめされた。身体はボロボロ、無一文になった武は手っ取り早く大金を手に入れる方法として殺し屋を考えた。インド人に仕事の斡旋を依頼し、その報酬として20万ドルを要求した武が受け取ったのはたったの8万8千ドル。その金をギャンブルに賭けてあっという間に15万ドルを手に入れるが、そのころには殺しをする気も失せていた。そこで稼いだ金で殺し屋を雇うことにした。待ち合わせのバーに現れたのは、カルメン(カルメン・リー)という刑務所から出所したての女だった。2人は汚い安宿に部屋を取った。そんな中、彼女の身勝手な要求に振り回されて殺されそうになった武は、渡した金を奪い取って立ち去ろうとした。その時、彼女が「刑務所に入ったのは男に惚れていたからだ」と告白し、涙を流す。はその夜、カルメンの望みであった一流ホテルに部屋をチェックインし、ベッドへ…。彼女は大切にしている絵はがきの美しい風景写真に書かれたParadaiseという字を指し「ここに行くのが私の夢」と囁いた……。翌日。暗殺決行の朝、武は喫茶店で「もし、自分が帰らなかったらこの袋を開けて欲しい」と彼女に言い捨て、殺しに出てしまう。その袋の中にはParadaiseの絵はがきと航空券、そして金が入っていた。数時間後、犯人が逃走中でまだ捕まっていないことを告げる放送がかかった……。
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