ワンダフルライフ(1999)
ワンダフルライフ(1999)
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ワンダフルライフ(1999)

1999年4月17日公開、118分
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天国への入口で、人生を振り返り一番印象的な想い出を選択する死者たちと、彼らの手助けをする人々の交流を描いたファンタジックな人間賛歌のドラマ。監督は「幻の光」の是枝裕和。脚本も是枝監督自らが執筆。撮影を「肉筆浮世絵の発見」の山崎裕が担当している。主演は、モデル出身のARATA。98年度トロント映画祭出品、第46回サン・セバスチャン映画祭国際映画批評家連盟賞受賞、第16回トリノ映画祭最優秀脚本賞受賞、第20回ナント三大陸映画祭グランプリ受賞作品。スーパー16ミリからのブローアップ。

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ストーリー

月曜日。木造の建物の事務所に、職員たちが集まってきた。所長の中村、職員の望月、川嶋、杉江、アシスタントのしおり。彼らの仕事は、死者たちから人生の中で印象的な想い出をひとつ選んで貰うこと。そして、その想い出を映像化して死者たちに見せ、彼らを幸福な気持ちで天国へ送り出すというものだ。そう、ここは天国への入口(リンボ)なのである。今日も、22人の死者たちがリンボの施設にやってきた。職員たちは、彼らへの面接を開始する。火曜日。死者たちは、それぞれに印象的な想い出を決めていく。それらは千差万別。戦時中、マニラのジャングルで米軍の捕虜になった時に食べた白米の味を選んだおじいさん。子供を出産した瞬間を選んだ主婦。幼少時代、自分を可愛がってくれた兄の為にカフェーで・赤い靴・の踊りを披露した時のことを選んだおばあさん。パイロットを目指してセスナで飛行訓練した時のことを選んだ会社員などなど。だが、中には想い出を選べない人もいた。渡辺という老人は、自分が生きてきた証になるようなものを選びたいと言うが、それが何か分からない。伊勢谷という若者は、あえて想い出を選ぼうとしなかった。水曜日。今日は、想い出を決める期限の日だ。望月は担当の渡辺に彼の人生71年分のビデオを見せることにした。ビデオで人生を振り返り、想い出を選んで貰おうというのだ。だが、それでも渡辺は決めかねている。学生時代、就職、結婚…、ヒントを出していく望月であったが、渡辺は全部そこそこの人生だと言うばかり。そんな時、望月はモニターに映った渡辺の妻・京子の顔に一瞬目を奪われるのだった。木曜日。職員たちと撮影クルーの入念な打ち合わせの後、スタジオにセットが組まれ、撮影の準備が進んでいく。金曜日。撮影の日である。渡辺も漸く想い出を選ぶことが出来た。それは、最後に妻と映画を観に行った帰りの公園のベンチでの風景だった。土曜日。いよいよ、上映会の日だ。死者たちは、再現された自分たちの想い出の映画を観て天国へと次々に旅立って行った…。こうして今週の仕事を終えた望月。ところが、彼は渡辺のビデオの片づけをしていて、渡辺からの手紙を見つける。そこには、妻の京子が自分と結婚した後も決して忘れることのなかった死んだ許嫁が望月であると気づいていたことや、彼女の望月に対する愛を知っていたからこそ、嫉妬心から一番大切な彼女との日常を想い出として選べなかったこと、しかし望月と出会い、彼の優しさに触れたことでそれを乗り越えられたことなどがしたためられていた。だが、望月が京子とのことを渡辺に黙っていたのは、渡辺に対する優しさからではなく、他人と関わることを避けてきた自分が傷つきたくなかったからだと認識していた。実は、この施設で働く職員は皆、想い出を選べなかった死者たちで構成されており、先の大戦で京子の愛を確信するまでに到らないまま彼女と死別した望月は、彼女との想い出を選べないでいたのである。だが、望月は渡辺の残した手紙を読んである決心をする。しおりと一緒に、既に亡くなっていた京子のフィルムを探し出しそれを観る望月。そこには、出征前の望月と過ごした公園のベンチでの一時が写っていた。それを観た望月は、短い生涯だった自分が他人の幸せな想い出に参加していたことを知り、それを幸せと感じることが出来るのだった。土曜日。望月は、中村の許可を得て「人の幸せに参加できた自分」を想い出として撮影して貰うことにした。日曜日。望月の想い出の撮影が行われた。ただベンチに座っているだけの望月を撮影するクルー。そして上映が行われ、彼は天国へと旅立って行くのだった。月曜日。新たな一週間の始まりだ。望月の代わりに職員となったしおり、そして結局想い出を選ばないままの伊勢谷がアシスタントとして川嶋の下につくことになった。今日も、死者たちがリンボの施設の玄関を潜る…。

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作品データ

製作年
1999年
製作国
日本
配給
テレビマンユニオン=エンジンフイルム
初公開日
1999年4月17日
上映時間
118分
製作会社
テレビマンユニオン=エンジンフイルム(製作協力 IMAGICA/特別協力 読売新聞社)


[c]キネマ旬報社