アラーナ・ディ・ローマ
Amy Enker
聾唖になった少女が歌声を通じて心を開く様を描いたドラマ。監督は「マルコム」「ピュア・ラック」のナディア・タス。脚本・撮影はデイヴィッド・パーカー。音楽はスプリット・エンズの一員フィリップ・ジャド。出演は新人のアラーナ・ディ・ローマ、「マイ・スウィート・シェフィールド」のレイチェル・グリフィス、「ハーモニー」のベン・メンデルソン、本作がデビューとなる人気ロッカーのニック・バーカーほか。
8歳の少女エイミー(アラーナ・ディ・ローマ)は4歳の頃、人気ロックスターだった父親ウィル(ニック・バーカー)がステージ上で感電死するのを目撃したのが原因で、口も聞けず耳も聞こえない状態が続いていた。母タニア(レイチェル・グリフィス)は母子の間に割り込もうとする福祉局の役人から逃れるためにエイミーを連れて、メルボルンの労働者階級が住む一角に引っ越した。売れないミュージシャンのロバート(ベン・メンデルソン)はある日、自分の歌声にエイミーが反応することに気づく。彼と一緒に公園で歌うエイミー。最初は信じなかったタニアも、エイミーがラジオから流れるウィルの歌に合わせて口ずさんでいるのを目撃して希望を持つ。様々な専門家にかかるうち、児童心理学の専門医アーカートはエイミーの良き理解者となった。親しくなっていたロバートとタニアはある晩一緒に夜を過ごすが、ひょんなことでエイミーが行方不明に。町の住民も総出で捜索が行われたが、エイミーは福祉局の役人の手につかまり、孤児収容所送りにされた。エイミーはそこからも逃げ出し、ロバートと時を過ごしたあの公園に向かった。ちょうど公園で行われていた野外コンサートを見て、興奮状態になったエイミーは「パパ!」と叫ぶ。エイミーはかつて自分がステージでパパを殺したと思い込んでいたのだ。トラウマを克服し、心を開いたエイミーをタニアは抱き締めるのだった。
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