ブランシュ・スウィート
Mavis
「花婿入用」に続いて製作されたブランシュ・スウィート嬢主演のハムトン映画で、ケニス・クラーク氏が特にスウィート嬢のために書き下ろしたもので、「女性解放」と同じくポール・スカードン氏の監督になった。相手役は「サロメ(1918)」等出演のアルバート・ロスコー氏と、「ローンウルフの娘」「花祭りの夜」等出演のエドウィン・スティーヴンス氏とである。「原作は格別面白いものではないが、監督術は巧みなもの」とニュース誌は評している。
嵐を避けてホーマー・オーエンがギルバート・レノックスの別荘へ不意に訪ねてきた時、かつて彼を疑って彼との婚約を破棄した女優のメイヴィス・ジェロームに逢った。彼女は自分の姉がレノックスの妻になっているので遊びに来ていたのであるが、昔の恋人--しかも周囲の事情によっては、どんな事をし兼ねるか判らぬオーエンに対し、その場に来あわせたジョン・ジョーダンを「夫のレノックス」であるとして紹介した。しかしその晩、オーエンは夫婦であると言う2人の素振りを疑い、ついにジョーダンが何でもないものであるのを知って、メイヴィスを自分のヨットに誘拐し去り、自分がかつて彼女から疑われたのは、身に覚えなき濡れ衣であることを証明した。追って来てジョーダンは、自分の演じていた心進まぬ夫の役が、すでに彼女に必要でないのを知りその場を去る。メイヴィスはもちろんオーエンを許した。
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