Pomeroy Cannon
Leon_de_Seveac
「黙示録の四騎士」「征服の力」「ゼンダ城の虜(1922)」等の傑作を以て名声頓にあがったレックス・イングラム氏の其後の監督作品で同じくメトロ社発売映画である。今度は氏自身が原作脚色の掌にも当たっている。かつて「黒蘭」Black Orchids と題して昔氏が製作した映画の原作と殆ど同じ筋であるがたとえその映画を見た者でもあらゆる点の驚くべき進歩により全く其映画を連想しあたわぬ程異なったものとなっていると。俳優は今度はイングラム氏夫人アリス・テリー嬢は出演せず新進ラモン・ノヴァロ氏、美しきバーバラ・ラ・マー嬢、老巧ルイス・ストーン氏及びエドワード・コネリー氏等、皆「ゼンダ城の虜(1922)」に活躍した人々が主役になっている。
小説家レオンの娘ジャッケリンは丁度恋知り初めの歳頃となった。美しい彼女には多くの求婚者があったが彼女は最も若い若者アンリを慕った。しかし若い娘の癖としてアンリに対する恋を明らかにし得ず遂心定まらぬ有り様であった。父は心なく愛情を移す心定まらぬ女性が如何に恐ろしき悲劇を成すか、という事を主題にする1の小説を著し娘に訓えたのである。此映画はその小説を展開したものである。仏国巴里に住む老男爵モーバンは年にも恥じず妖艶な妙齢の女占者ザレダの色香に迷ってたが彼の息子で剣術の達人イヴァン・モーバンも彼女を恋していた。心なき女ザレダは巧みに両者を操っていたが、己が心の奥にイヴァンに対する美しい情愛の燃ゆる事は自らも気がつかぬのであった。欧州の野に戦いが起こった時、息子とザレダとの間を知った老バーモンは浅間しくも己が恋故に息子を無理に戦場に送った。定めなき恋の女性ザレダは其頃老バーモンに紹介された富める伊国外交官フェロニを恋するようになっていた。此れを知った老バーモンは嫉妬の余りフェロニを毒殺せんとして却ってザレダに謀られ己れが死んでしまった。父の死報を得て淋しく戦地から戻ったイヴァンの胸に燃ゆるザレダに対する恋の炎は、彼女がフェロニと結婚し新しく広大な邸宅に移り住む事を知って、忽ち憤怒の炎と化し、彼は狂気の如く直ちに彼女を訪れた。彼女は人妻となってもイヴァンに対して熱烈な愛着を否まれぬを知った。彼女はイヴァンが剣術に優れている事を知って夫に奨めイヴァンと決闘せしめた。彼女は予期通りイヴァンは見事に勝った。夫の遺言の追白文により2人は或古城を訪れた。其処には死んだはずの夫が彼女等に復讐すべく待っていた。僅かの余命をフェロニは復讐の為にここに及んだのである。彼に撃たれて死んだイヴァンの屍体が地下の牢房に驚愕と恐怖に震えているザレダの膝の上に投げ込まれると間もなくフェロニも傷に堪え兼ねて死んで行った。心なく恋を弄びし女ザレダは己れも知らぬ情愛を死せるイヴァンに繋ぎつつ心怪しく狂い行くのであった。
Leon_de_Seveac
His_Daughter _Jacquline
Henri
Baron_Francois_de_Maupin
The_Marquis_Ferroni
Pere_Alphonse_Bidondeau
Col._Roybet
Achmet
Ceasar
Hasson
Hatin-Tai
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