チャールズ・レーン
Artist
ニューヨークの路上に生きる人々の生活をモノクロ、サイレントの不思議なタッチで描く。エグゼクティヴ・プロデューサーはハワード・M・ブリックナーとヴィッキー・レーベンバウム、製作・監督・脚本・主演を兼ねるのはチャールズ・レーン。撮影はビル・デイル、音楽はマーク・マーダーが担当。レインのほかにニコール・アリシア、サンディ・ウィルソンらが出演。
舞台はニューヨーク、大都会の喧騒とは無縁なダウンタウンのヴィレッジのストリート。そこには似顔絵を描く人、ラップのパフォーマンスをする人、ギャンブルに興じる人など様々な人々が生活している。そんな中で通りを行く人たちの似顔絵を描いて生計をたて、廃墟のビルに住む男(チャールズ・レーン)がいた。ある日彼の目の前で子連れのカップルが喧嘩別れをする。その後カッブルの男が殺害される現場に偶然居合わせてしまい、男は置きざりにされた子供(ニコール・アリシア)の面倒を見ることになってしまった。その日から2人は仕事の時も、寝る時も、何をするにも一緒の生活。気ままな暮らしに馴れていた男は振り回され、混乱していった。そしてベビー用品を盗みに入った店で、以前似顔絵を描いたことのある若い女性(サンディ・ウィルソン)に偶然再会し、淡い恋心が芽生えるようになる。彼女は2人を豪華な自宅に招き、食事をごちそうし、楽しい時間を過ごす。だが幸福は長くは続かない。子供をいつかは本当の親に返さなければならないのだ。そして、いよいよ別れの時が来た。牛乳のパックに印刷された、子供を捜す広告を見てついに男は子供を母親のもとに返したのである。切ない想いを抱く男の胸に、ホームレスたちの生きるための叫びが深く染み込んでいくのだった。
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