天と地をつなぐことに深いこだわりを持って活動を続ける美術家・鈴木寅二啓之による“猿田彦土中神社プロジェクト”を記録したドキュメンタリー。鈴木寅二啓之の絵画作品は和紙に特殊な墨で描き、それを100日程度土に埋めた後、再び掘り出すという独特な手法で生み出される。土にゆだねられた絵画は、地中のバクテリアなどにより更に特殊な絵柄を獲得し、再びこの世に出現する。彼はこれを“土中絵画”と呼び、天と地を結ぶ絵画として長年この手法にこだわってきた。そんな中、2008年、伊勢・猿田彦神社の境内に祀(土中神社)を建立し、その天井に土中絵画を掲げ奉納するという美術プロジェクトが行なわれる。舞台となった神社には、古事記の「天孫降臨」の場面で天と地をつないだ啓行き(みちひらき)の神、猿田彦大神が祀られており、この神が担う役割と重なり合い、響き合いながら、鈴木寅二啓之による美術制作が2008年4月から本格的にスタート。その過程は、美術制作を越えた壮絶な土との格闘であり、また“祈り”そのものともいえる厳しくも深い作業となった。そこに地域の子供たちや多くの人の力が集結し、土中神社制作は進められていく。同年10月12日、猿田彦土中神社は奉納舞~啓行神楽~(振付・舞:鈴木邦江)と共にお披露目となり、人々を迎え入れることで新たな道が開き始めるのであった。
ストーリー
※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。