ウォーレン・ベイティ
George
上流社会や有名人の赤裸々な私生活の内幕を描く。製作はウォーレン・ベイティ、監督は「ハロルドとモード 少年は虹を渡る」のハル・アシュビー、脚本はロバート・タウンとウォーレン・ベイティ、撮影はラズロ・コバックス、音楽はポール・サイモン、衣装はアンシア・シルバートが各々担当。出演はウォーレン・ベイティ、ジュリー・クリスティ、ゴールディ・ホーン、リー・グラント、ジャック・ウォーデン、トニー・ビルなど。日本語版監修は野中重雄。テクニカラー、ビスタサイズ。1975年作品。
高級住宅地ビバリー・ヒルズは金と時間をもてあましている女たちの欲望の園だった。ヘアー・ドレッサーのジョージ(ウォーレン・ベイティ)は、そんな彼女たちから絶大な人気を誇っていた。今日もお得意さまのひとり、フェリシア夫人(リー・グラント)と情事の真最中。今まさにクライマックスというときにガールフレンドのジル(ゴールディ・ホーン)から電話が入った。いつもこうなのだ。だが、心の中ではこんな生活にいや気がさしているのも事実だった。彼の勤めているビューティ・サロンはビバリー・ヒルズでもとりわけ有名な店だったが、ジョージは一日も早く独立して自分の店をもちたいと思うようになっていた。そのことを知ったフェリシア夫人は、夫のレスター(ジャック・ウォーデン)に紹介してくれるという。彼はレスターの事務所に出かけたが、そこで偶然かつての恋人ジャッキー(ジュリー・クリスティ)に会った。驚いたことに、彼女はいまレスターの愛人だったのだ。レスターは出資することに乗気だった。そして、ある選挙候補者応援パーティにジョージとジャッキーを誘った。夜---レスターはフェリシア夫人を、ジョージはジャッキーを、CF監督のジョニー(トニー・ビル)は、ジルをそれぞれエスコートして出かけた。パーティは盛大だった。酒が入り、酔いが廻ってきたジャッキーは、みんなの前で突如ジョージの股に顔を埋めた。呆気にとられるレスターたち。そこへ突然の爆弾さわぎでパーティはおじゃん。一行はパーティの続きをと、ベル・エアのマンションに向かった。広大な庭やプールは男女で埋められた。そこでジャッキーとジョージの情事はレスター、ジルに目撃されてしまった。夜明け、ジョージはジルを訪ねたが、相手にされなかった。重い足をひきずってわが家に戻ると、ボディガードを連れたレスターが待っていた。行き場がなくなったジョージはジャッキーのもとへ向かった。昨夜あれほどまで燃えた彼女は哀れむような眼で彼をみつめた。レスターと結婚して旅に出るわ。女なんてファックが好きな生殖器さと豪語していたジョージだったが、今、彼をとりまく女は一人もいなかった。妻と別れ、うわべをつくろうことをやめ、自分に正直に生きる道を選んだレスターとジャッキー。その二人が乗った車を、ジョージはいつまでも見つめていた。(コロムビア映画配給1時間50分)