エスター・ロールストン
Patricia_Winslow
「姿は偽らず」「恋してぞ知る」「魔の家(1928)」に次ぐエスター・ラルストン嬢主演映画で、アーサー・ストリンジャー氏の物語を、ドリス・アンダーソン女史とパーシー・ヒース氏とが脚色し、「娘18冒険時代」「凸凹青春の巻」のグレゴリー・ラ・カヴァ氏が監督した。ラルストン嬢の相手役は「空行かば」「大尉の娘」出演のゲイリー・クーパー氏が勤め、フリーマン・ウッド氏、メアリー・ドーラン嬢、ウィリアム・ウォーシントン氏等が助演している。
パトリシア・ウィンスロウは21歳のモダン・ガールが求め得られるあらゆる刺激にも既に飽満と倦怠とを感じるようになった。そして何か痛快な事はないかしらと考えながら、聞くともなしにラジオを聞いていると試験結婚の話が少なからぬ興味をそそった。思い立つとパトリシアは足許から鳥が飛び立つ様に早速ジェッド・モートンという腑抜け男のモダン・ボーイと試験結婚をした揚げ句、交通事故を惹き起こして一晩留置場の御厄介になった。翌朝この事を知ったパトリシアの父はこのべらぼうな蜜月旅行は是非やめさせねばならぬと決心し、自家用のヨットの船長エドマンヅに命じてパトリシアを誘拐させた。かくてパトリシアは父と共にアラスカへ向かって航海しなければならぬことになったが、エドマンヅ船長を我慢ならぬ程毛嫌いしている彼女は船を脱出しょうという無謀な考えを起こし、ついに7日目に至って隙をうかがってランチに乗って逃げようとした。驚いたエドマンヅは辛うじてそのランチに泳ぎついたが本船とは離ればなれになってしまった。その上激しい暴風雨に遭遇して難破し、パトリシアはエドマンヅと2人きりカナダ西岸の一無人島に漂着した。それから数週間原始的な生活を営むべく余儀なくされるうちにパトリシアは大嫌いだったエドマンヅの男性的な魅力に征服されてゆく自分自身をどうすることもできなかった。待ち望む救いの船も見えぬ幾日かエドマンヅは主家の娘に対して打ち勝ち難い恋の欲情を抑え耐えた。しかしようやく見えた船に救助の合図をして答えられなかった時、エドマンヅはついにパトリシアに愛の告白をせずにはいられなかった。彼女は諾した。そして2人が荒ら屋に相抱いている時救いの人々は来た。かくて故郷に帰る日パトリシアは改めてエドマンヅと試験結婚ならぬ誠の結婚式を挙げた。
Patricia_Winslow
Capt._Edmunds
Jed_Morton
Betty
Mr._Winslow
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