ロン・チャニー
Alonzo
「三人」「法の外(1921)」等と同じくロン・チャニー氏が主演し、トッド・ブラウニング氏が監督した映画である。原作はブラウニング氏が映画様にと書卸したストーリで、それをウォルデマー・ヤング氏が脚色している。主役チェニー氏を助けて「密輸入者の恋」「三人の踊子」等主演のーン・クロウフォード嬢ト「アニー・ローリー」「君が為め命捧げん」のモーマン・ケリー氏とが主演するほか、ニック・デ・ルイス氏、ジョン・ジョージ氏、フランク・ラニング氏、等も顔を見せている。
腕の無い男アロンゾは自分が働くサーカスの花形ナノンを秘かに思っていた。ナノンはサーカスの団長ザンジの娘であるが、しばしば男に挑まれて以来、普通の男に極度の嫌悪を感じ、従って腕のないアロンゾとそれだけ深く信頼していた。マラバールは同じサーカスの一員で、男振りもよく大力な男で、彼もナノンを思っているが、女は出来るだけ男を避けていた。が、実の所、アロンゾには立派に両腕があるのであった。しかし片手の指が六本もあるのであった。そして彼は多年警察の眼をかすめては悪事を働いていた。たまたまアロンゾが銀行を襲い大金を強奪したのを団長ザンジに疑われ、その手を発見されたので、彼はザンジを絞め殺した。その際、チラリとナンノに手を見られたがアロンゾとは元より夢にも彼女は気がつかなかった。ザンジの死によりサーカスは人手に渡った。そしてザンジ殺害の犯人は、誰も腕のないアロンゾの仕業とは思わず、この事件は犯人不明のままで終わった。アロンゾはナノンと結婚したいが、腕の秘密の露見を恐れて、奮悪を知る外科医を長途わざわざ訪れ、脅して両腕を切断してもらった。で、又マドリッドへ帰って見ると、ナノンはマラバールと共に劇場に出演するという。いつかナノンはマラバールとの間に恋が成りたっていたのであった。そして近く二人が結婚するという事を聞かされて、アロンゾは失望落胆、そして堪えられず、マラバールが開幕前舞台上で呼びものの馬と力競べとしている際、曲芸の秘密を知る彼はマラバールを殺そうとしたが、却ってナノンが危地に立ったので驚いたアロンゾは彼女を救い、自ら馬蹄の下となり横死を遂げた。かくて「知られぬ人」は遂に解決されずに社会から葬り去られたのである。
Alonzo
Malabar
Estrellita
Zanzi
Cojo
Gypsy
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