監督、撮影、編集、構成
10余年にわたり南京大虐殺の加害者・被害者500名以上に取材し、70年の歳月を経ても生々しく語られる証言を集め、その本当の姿を浮き彫りにするドキュメンタリー。監督は、「ウトロ家族の街」の武田倫和。インタビュー・取材は、書籍『南京戦・切りさかれた受難者の魂 被害者120人の証言』編集者の松岡環。
ストーリー
1937年12月、当時の中国の首都だった南京は旧日本軍によって占領され、その前後において、“南京大虐殺”と呼ばれる残虐行為が行われたと言われている。それから70年経った今でも論争の的になっている南京大虐殺であるが、加害者・被害者として実際にそれを体験した人たちの声が取り上げられる機会は多くはなかった。本作では、約10年をかけてインタビュアー自らの足で探し出した中国人被害者や元日本兵500人以上を取材した中から、7名の証言を取り上げている。中国人たちは、撃ち殺された人々が揚子江に浮かんでいるのを目撃したことや、小屋を焼かれ顔に火傷を負った自らの被害体験、日本兵に3回も強姦された経験を告白し、ずっと誰にも言えなかったと訴える。一方、元日本兵たちは、女性や子供たちも殺すよう命令されたことや、強姦、無差別虐殺が実際にあったことを証言し、本当の地獄だと思ったと述懐する。長い年月が経った今でも、昨日のことのように生々しく語られる彼らの記憶は、同じ場所、同じときに経験したにもかかわらず、加害者側と被害者側で引き裂かれていた。彼らの記憶の裂け目を綴じ、2つを重ね合わせたとき、南京大虐殺の真実が明らかになる。