長谷川初範
フカサワマサオ
地方行政から見放され多くの問題を抱えていた山あいの小さな村の人々が、その苦難に立ち向かう姿を描いた実話の映画化。監督は『日本の青空』の大澤豊。出演は「さまよう刃」の長谷川初範、「おと・な・り」のとよた真帆、「沈まぬ太陽」の加藤剛、「HAZAN」の大鶴義丹、「あずみ2 Death or Love」の宍戸開、「島田洋七の佐賀のがばいばあちゃん」の小林綾子など。
岩手県の山間に位置する小さな村・沢内村では、長年、豪雪・多病・貧困という大きな問題を抱えていた。そんなある日、長く無医村であったこの地で、父・晟訓(加藤剛)から医者になることを期待されながらも村を離れていた深澤晟雄(長谷川初範)が妻のミキ(とよた真帆)と共に帰郷する。昔と変わらない悲惨な村の状況を目にした晟雄は、何とか村をよくしたいという気持ちが湧き上がり、まず、自分たちを苦しめている問題を打破しようと村民に語りかける。自らの信念である“生命尊重”の在り方を説き、沢内村村長となった晟雄は、いよいよ村民の医療無料化に踏み切ろうと決意するが、国民健康保険法違反という壁に突き当たってしまう。だが、晟雄は村民の生命を守るため、全国に先駆けて何としてでも実現させようと、国民の生存権を規定した憲法25条の精神を盾に推し進めていく。こうして“生命行政”に徹した深澤村政は、全国の自治体で初めて60歳以上の村民と乳児の医療費を無料化、全国でも最悪の乳児死亡率だった村が、全国初の乳児死亡ゼロという偉業を達成するまでになるのだった……。
[c]キネマ旬報社