ウィリアム・S・ハート
Black_Deering
ウィリアム・S・ハート独立後第1回に発表したパラマウント映画で、原作は氏自身、およびランバート・ヒルヤーの合作。S・ハートのために「鉄血サンダースン」「黄金の檻」「侠漢と悍馬」そのほか多数原作脚色または監督などの任にあたったヒルヤーが監督したもので、相手役は「奮闘の機会」「新緑の家」など主演のアンナ・Q・ニルソンである。そのほかジャック・リチャードソンの顔も見える。
凶猛倦くなきディアリングも幾度かは改心を志したが、部下の手前詮方なく最後の汽車奪略を行うがかえって乗り込みの軍隊の手に捕らえられた。この軍隊は彼の部下ジョルダンの密告によって乗り込んだものなのである。彼は併し、かつてこの軍隊の屯営の兵士の家族を救ったことがあったので特に情により逃走の機会を与えられた。改心の途にあった彼は職業もなく再び凶猛な性格に復りある酒場を襲って前の密告者ジョルサンに遇い復讐を誓い、またも役人に追われて逃走した。その途中小児の溺死せんとするのを見て身の危険を忘れて助けたが、図らずもその母親は以前ジョルダンの女で今は捨てられてしまったメエリーであった。彼女は子供の恩義により彼を己が夫と偽って役人の手から庇護した。彼はジョルダンに対する恨みから彼女を己がものたらしめんとしたが、女の潔い心に感じ、かえって監視中の役人に自首した。折柄彼の跡を追って来た役人の一隊がジョルダン一味に攻め苦しめられていることを知った彼は、ここぞ男子の死に場所と、奮然役人の応援となり、復讐の念燃ゆる一弾はジョルダンをたおした。かくて改心の情顕著なる彼は同情ある役人の好意により、数多き過去の罪を償う新生涯に入るべく、独り峻坂を禁じて国境外へ漂い行くのであった。
Black_Deering
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The Little Feller
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