医師免許を持ち、大学教授でもある探検家の関野吉晴。彼が、教え子たちと共に人類のルーツを探る一つの方法として、道具も材料もすべて、自然から手に入れられる素材だけを利用してカヌー作りに挑む姿を追ったドキュメンタリー。自分たちの手で、一からすべてを作り上げていく中で、若者たちは様々なことを学んでいく。
ストーリー
アフリカから南米まで、人類拡散のルートを自らの腕力と脚力だけで逆行踏破し、数々の出会いと別れを繰り返しながら自身の目で世界の今を見つめてきた探検家、関野吉晴。武蔵野美術大学で教鞭をとる関野はある日、教え子たちにこう呼びかけた。“自然から直接採取した材料だけで、手作りのカヌーを作ろう”。壮大な計画にそれぞれの夢を重ねた若者たちが集まってきた。2008年5月、千葉県の九十九里海岸でカヌー作りは第一歩を踏み出す。まず取り掛かったのは、120kgの砂鉄集め。それは、木を切り倒す鉄斧を作るための準備作業に過ぎなかった。同時にこれが、古代から伝わる素材や伝統技術を巡る、果てしないものづくりの旅の幕開けとなった。鉄器、縄、保存食、そしてカヌー。航海に必要な四つの条件を満たすべく、若者たちは日本とインドネシアを奔走する。僕らが手にしたものは何だろう。それと引き換えに失ってきたものとは。“つくる”ことを通して得られる幾多の気づき。カメラは現在と未来を模索する若者たちの奮闘を追う。