バート・ランカスター
Cross
ワシントン、パリ、ウィーンを舞台に、巨大な組織CIA(アメリカ中央情報局)に挑む殺し屋の姿を描く。製作はウォルター・ミリッシュ、監督はマイケル・ウィナー、脚本はジェラルド・ウイルソンとデイヴィッド・リンテルズ、撮影はロバート・パインター、音楽はジェリー・フィールディングが各々担当。出演はバート・ランカスター、アラン・ドロン、ポール・スコフィールド、ジョン・コリコス、ゲイル・ハニカット、J・D・キャノン、ジョアン・リンヴィル、ヴラデク・シーバル、メル・スチュアート、バーク・バーネスなど。
CAI諜報部員クロス(バート・ランカスター)は、殺し屋ローリエ(アラン・ドロン)と共に、中近東某国の首相をパリ・オルリー空港で暗殺し、一路ワシントンへと向かう。仕事を終えたローリエに、CIAのフイルチョック(J・D・キャノン)は、なぜクロスをも殺さなかったのかと迫った。クロスがCIAの極秘秘密をソ連側に通報していたことが発覚し、ローリエはクロス殺害指令を受けていたのだが、永年の相棒である彼を殺すことはできなかったのだ。一足速くCIAの動きを察知したクロスは、最愛の妻サラに別れを告げ、逃亡の旅に出発した。バルチモアからピッツバーグ、シカゴ、トロント、そしてウィーン…。その頃、豪華なホテルの一室で恋人のスーザン(ゲイル・ハニカット)と逢瀬を楽しんでいたローリエは、突如、CIAにふみ込まれ麻薬不法所持の疑いで逮捕された。全く身に覚えはなく、明らかにローリエをクロス暗殺の仕事に仕向けるための罠だった。30年の服役を言い渡されるかどうかの瀬戸際に立ったローリエは、やなむく2万5千ドルとクロスの後釜に座ることを条件に同意した。ローリエはクロスの逃亡先を知っていた。彼は、ソ連の秘密諜報部員ザーコフ(ポール・スコフィールド)とウイーンで密会しているに違いない…。ウィーンに飛んだ口ーリエは、早速クロスと対峙したが、そうやすやすとは目的は達せられなかった。一方、サラを愛するクロスから何らかの連絡が彼女あてにあるに違いないとにらんだCIAは、ワシントンにかかってくる長距離電話を全て盗聴していた。やがて、クロスが人を介して、サラあてに“図書館に本を返してほしい”という内容の電話をかけてきた。サラが図書館に入る姿を追うCIAの8ミリカメラ。フィルムが映写され、じっと画面を見ていたローリエは思わず身を乗り出す。人ごみの中にスーザンの姿があったのだ。スーザンがクロスの手先であろうとは。サラの家をCIAが捜査することになつた。近くに住むCIAスタッフのトーマスが彼女をパーティに誘うが、気分がすぐれないサラは早々と引き上げた。その帰り、自宅の中に不審な男の影をみとめたサラは、拳銃を取り出し、男に向かって発砲するが、逆に射殺されてしまう。サラの悲報に接したクロスは、復讐のためにワシントンに戻つてきた。張本人がCIAのボス、マクラウド(ジョン・コリコス)であることをつきとめたクロスは、何なく彼を射殺する。一方、ローリエはスーザンのアパートの前に車を止め、じっと彼女を待っている。やがて彼女が姿を現わし、尾行を開始した。スーザンの車は、クロスが待つ地下駐車場へと向う。二人が一緒のところへ不意にローリエが現われる。ローリエは冷たく彼女を見つめたまま、拳銃の引き金を引く。銃口はそのままクロスにも向けられた。駐車場を出て歩き始めたローリエの足許に猫がじゃれついた。猫とたわむれるローリエに、CIAスタッフの拳銃が向けられていた…。
Cross
Laurier
Zharkov
McLeod
Suzan
Filchock
Saruh
Zemetkin
Pick
Morrison
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