アントニオ・サンパイオ
フィルミノ
「アントニオ・ダス・モルテス」のグラウベル・ローシャ監督による長編第一作。全編に響き渡る民謡、人々のバイタリティ、ハイチのブードゥーに通じるカンドンブレの儀式の生々しさなど、まさしくバラベント(大地と海が一変し、愛、生活、社会が変貌する激しい瞬間の意)の予感を捉える。出演は「カンガセイロの最後」のアントニオ・ピタンガ。
ブラジル北東部バイーア地方。人々は祈祷師にすがり、呪いをかけ、トランスに接して、さらに信仰にのめり込む。アフリカからの黒人奴隷文化に根ざした漁師たちの素朴な生活が息づく海岸の村にある日、白いスーツを着た青年がやってくる。彼は以前この村を出た漁師で、都会から戻ってきたのだ。やがて青年は、人々がとらわれている因習、特に民間信仰カンドンブレから村人を解放しようとするが、これをきっかけに村にはさまざまな波風が立ち始める。地引き網漁の網元による零細漁民の支配、何とか支配から独立を計ろうと目論む青年、彼を見つめる周囲の眼、屈折した人種的偏見、それに男女関係さえも……。因習こそが、この地域の政治的、社会的な抑圧、そして絶望的な貧困の原因なのか……。
監督、脚本
脚本
脚本
製作、製作総指揮
製作
製作
製作
撮影
音楽
美術
編集
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