監督、脚本、製作
手作りのロッキングチェアの一生を通して、カナダ・ケベック地方の移り変わりを描いた短篇アニメーション。監督は「トゥ・リアン」のフレデリック・バック。バックの長女、スーゼルのアイデアを元に製作された。1981年度アカデミー賞短篇アニメーション部門受賞。1988年6月23日より東京・シブヤ西武シードホールにて開催された「フレデリック・バックの世界『木を植えた男』」にて上映。2011年7月2日より東京・神保町シアターにて開催された「木を植えた男。フレデリック・バックの世界」にてリバイバル上映。
ストーリー
カナダ、ケベック地方。一人の若者が木を切り倒し、そこから1脚のロッキングチェアを作った。椅子はもうすぐ結婚式を挙げる婚約者へのプレゼントだった。二人の結婚式は村を挙げて行われ、盛大な歌と踊りは夜通し行われたのだった。季節は流れ、二人の間に子供が生まれる。双子を含む4人の子どもを授かった一家は幸福な日々を送り、椅子はその家族に寄り添いながら暮していた。更に月日は流れ、子供たちは独立し、老夫婦は二人きりとなる。何度目かの修理を重ねすっかり古くなった椅子は遂に壊れ、ゴミ置き場に棄てられる。ゴミ捨て場で椅子は、村が街へと変貌する様を静かに見守るのだった。そしていよいよゴミ回収車に回収されそうになった時、近くに立った美術館の警備員が椅子を引き取る。難解な現代芸術が飾られた美術館では、古風な椅子は子供たちの人気者だった。そして夜、飾られた絵画は椅子を祝福するために歌い踊る。それはまるで椅子を作ってくれたあの若者の結婚式の様だった……。