ユースフ・ジャオロ
アダム
内戦下のチャドを舞台に、急激な社会の変化に翻弄される初老の元水泳チャンピオンの男を描く人間ドラマ。監督はチャド出身のマハマト=サレ・ハルーン。2010年カンヌ国際映画祭審査員賞受賞作。2011年8月13日より、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催された「三大映画祭週間 2011」にて上映。
現代のチャド。アダム(ユースフ・ジャオロ)はかつては水泳のチャンピオンに輝いた60歳代の男で、高級ホテルでプールの監視員をしている。しかし、ホテルは新しく中国系のオーナーに代わり、彼は自分の仕事を息子のアブデル(ディオク・コマ)に譲るように強要される。激しい怒りに駆られ、アダムは自分が社会的に辱めを受けたと感じる。一方、チャドは内戦の混乱の最中であった。反乱勢は政府軍を攻撃している。政府は市民に「戦争への参加」を求め、敵に対して戦える年齢に達した志願者に金を与えていた。地域の区長(エミル=アポソロ・ムボ)は度々アダムに参加するよう強要する。アダムには金は無く、いるのは息子のみだったが…。
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