ディレクター
世界四大映像祭の一つでもある国際番組コンクール「モンテカルロ・テレビジョン・フェスティバル」のニュースドキュメンタリー部門で、ゴールデンニンフ賞(最優秀賞)を受賞したTV番組に未公開シーンを追加して再構築したドキュメンタリー。ナレーションは「死刑台のエレベーター」の平泉成。2011年12月17日より、愛知県名古屋・伏見ミリオン座にて先行公開。2012年1月21日より、愛知県石川県岐阜県にて公開。
ストーリー
名古屋市南区で小さな“工場”を営む小早川弘江さん56歳(当時)。わずか四畳半ほどのスペースで手がけているのは自動車部品の接着作業で、そこはトヨタ自動車の下請けの下請けの下請けのそのまた下請け、4次下請けの町工場だ。手がけた部品がどこに使われているかは誰も知らない。在庫とムダを省く「かんばん方式」の中、“上の会社”から仕事が届くのはいつも前日の夕方。多いのか少ないのか、あるいは全く無いのか。その時まで分からない。それでも工場には“笑い”が絶えず、今、エコカーブームで工場は大忙し。トヨタショックでは半年間、仕事が全くなかったが、今では仕事に追い立てられる毎日を過ごしている。そんな中、小早川さんは「笑ってさよなら」しようと決意を固める。10年前に工場を始めてからずっと、仕事が来るのは当たり前だと思っていた。毎朝工場に来て、おしゃべりして、笑い合って、そんな毎日が続けばいいと思っていた。だがトヨタショックで知ったのは、このままでは仕事がなくなるかもしれないということ。今の仕事は長くは続かない。もう振り回されたくない。だから仕事のあるうちに従業員の再就職先を決めて工場を閉めようと決めたのだった。そんな工場を閉めるまでの半年間を静かに見つめ、四畳半の小さな町工場の最後の姿と“笑い声”を通じて、自動車産業を支えてきた地域の今をカメラが捉える。