ヴィゴ・モーテンセン
ジョン・ハルダー
英国の劇作家、C.P.テイラーの遺作舞台劇を「Oiビシクレッタ」のヴィセンテ・アモリン監督が映画化。ヒトラーに小説を気に入られたことから予期せぬ人生を歩む文学教授の姿を描く。出演は「ザ・ロード」のヴィゴ・モーテンセン、「グリーン・ゾーン」のジェイソン・アイザックス、「ヴィーナス」のジョディ・ウィッテカー。
1930年代、ドイツはヒトラーの台頭とともにナチ党の色に染められ、それは教育の現場も例外ではなかったが、ベルリンの大学で教鞭をとる文学教授ジョン・ハルダー(ヴィゴ・モーテンセン)は、失職覚悟で党に抵抗する余裕はなかった。介護が必要な母(ジェマ・ジョーンズ)と妻のヘレン(アナスタシア・ヒル)、そして2人の子供たちの生活を背負っていたからだ。1937年4月、総統官邸から呼び出し状が届き、ジョンは党の検閲委員長ボウラー(マーク・ストロング)から意外な申し出を受ける。数年前にジョンが書いた不治の病に侵された妻を夫が安楽死させる内容の小説をヒトラーが気に入り、同様の「人道的な死」をテーマにした論文を書いてほしいという。断るすべもなく仕事を引き受けるジョン。さらに彼は、親衛隊少佐フレディ(スティーヴン・マッキントッシュ)から、執拗に入党の誘いを受け、ジョンは入党を決意、混乱した私生活にも区切りをつけようと思い立つ。母親をブランデンブルクの実家に帰し、ヘレンと別居。数年前から愛人として交際していた元教え子のアン(ジョディ・ウィッテカー)と共に暮らし始める。やがてジョンは学部長に昇進。親友のユダヤ人精神分析医モーリス(ジェイソン・アイザックス)は喜んでくれたが、ジョンの入党を知ると軽蔑の視線を投げつけて去っていく。1938年10月、アンと再婚し、新たな人生を歩み始めたジョンは親衛隊大尉の肩書きを持つまでに出世を遂げていた。そんな中、ジョンの母が孤独な闘病生活に絶望して自殺未遂、そのまま帰らぬ人となった。ある日、パリ駐在のドイツ人書記官がユダヤ人に暗殺される事件が起こり、ベルリンで反ユダヤの暴動が発生。ユダヤ人の家や商店が襲撃され、ユダヤ人たちは警察に連行される。この騒動にモーリスが巻き込まれることを案じたジョンは、駅へ出向き、パリ行きの切符を購入。「今晩自宅へ来てくれ」と、モーリスのアパートに伝言を残す。その直後、党本部への出頭を命じられたジョンは、留守を預かるアンにモーリスへの切符を託すが、結局彼は現れず、消息は途絶えてしまう。1942年4月、親衛隊の幹部としてユダヤ人強制収容所の情報収集を命じられたジョンは、党の誇る最新鋭の設備を使い、モーリスの消息を追う。そのとき初めて、4年前のあの夜に何が起きたかを知るジョン。さらに収容所の視察に赴いた彼は、自分が無意識のうちにどれだけ深い罪を犯していたかに気づき、愕然とする……。
ジョン・ハルダー
モーリス
アン
フレディ
ボウラー
ハルダーの母
ヘレン
監督
脚本
原作
製作
撮影
音楽
美術、プロダクション・デザイン
編集
衣裳/スタイリスト
[c]2007 Good Films Ltd.
[c]キネマ旬報社