ヴィオレッタ・ウルマーナ
ラ・ジョコンダ
舞台芸術の最高峰パリ・オペラ座。そんなパリ・オペラ座で2012~2013年に上演される舞台を臨場感たっぷりに、さらにクラシック評論家アラン・デュオとパリ・オペラ座バレエ団芸術監督ブリジット・ルフェーブルによる解説や舞台裏、出演者へのインタビューなどを盛り込み上映するシリーズ。本作では2013年5月13日にオペラ・バスティーユで上演された、ロマン派の巨匠アミルカレ・ポンキエッリのオペラを収録。日本ではまだ『ジョコンダ』の本格的な上演がされていないため、貴重な機会となる。指揮はローマ歌劇場などの音楽監督を務めたダニエル・オーレン。演出は2006年よりイタリアのマチェラータ音楽祭芸術監督を務めるピエール=ルイジ・ピッツィ。
レガッタのレースを見に多くの人が集まるグランドカナル。宗教裁判の密偵バルナバ(セルゲイ・ムルザエフ)は、盲目の母親チェーカ(マリア・ホセ・モンティエル)の手を引くストリートシンガーのラ・ジョコンダ(ヴィオレッタ・ウルマーナ)に目を留める。バルナバは彼女に近づこうとするが、ジョコンダは船長のエンツォ(マルセロ・アルヴァレス)に心を寄せているため、これをかわす。バルナバは腹いせに、レースで負けたのは魔女チェーカのせいだと言いふらす。殺気だった群衆がチェーカを威嚇しているところを、通りかかった宗教裁判長のアルヴィーゼ・バドエロ(オルリン・アナスタソフ)とその妻ラウラ(ルチアーナ・ディンティーノ)が助ける。チェーカは感謝の意をこめて、ラウラにロザリオをプレゼント。人々が去った後、エンツォが元貴族でラウラの元恋人であることを知ったバルナバは、ジョコンダを手に入れるために、ラウラと密会させてやるとそそのかす。バルナバの真意に気付いていながらも、エンツォはラウラへの思いを止めることができなかった。バルナバの導きにより、エンツォの船で密会するエンツォとラウラ。そこへエンツォの裏切りを知ったジョコンダが現れ、怒りからラウラを刺そうとするが、ラウラがチェーカのロザリオを持っていることに気付く。彼女が母親の窮地を救った恩人であることを知ったジョコンダは自分の小舟にラウラを乗せ逃がす。ジョコンダはエンツォにすがるものの、彼のラウラへの愛は固く、エンツォは自分の船に火をつけ海に飛び込む。妻の不貞に憤るアルヴィーゼは、帰宅したラウラに毒薬を飲むよう命じる。ラウラをエンツォの元へ返そうと画策するジョコンダは、二人の目を盗み毒薬と睡眠薬をすり替える。そしてバルナバに、我が身と引き換えにエンツォをアルヴィーゼから守ってほしいと頼む。エンツォとラウラが小舟で去っていくのを見届けた後、約束を果たすよう迫るバルナバの前で、ジョコンダは自らの身に短剣を刺す。
ラ・ジョコンダ
ラウラ・アドルノ
アルヴィーゼ・バドエロ
エンツォ・グリマルド
チェーカ
バルナバ
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