広島の山間部の小さな村で戦争の傷跡を抱えながらも必死に生きる人たちの姿を少女の目を通して描くドラマ。監督は中平悠里と「母のいる場所」の光永憲之。企画は「星の国から孫ふたり」の槙坪夛鶴子で、槙坪の幼少期の体験を元に制作された。出演は東島愛海、後藤紗良、紺野美沙子ほか。2012年9月1日より、愛知県ウィルあいち/弥富市にて開催された「あいち国際女性映画祭2012」にて上映。
ストーリー
広島に原爆が投下された時、父親の実家がある山間部の村に疎開をしていた日野たづ(5歳)は、母の白いブラウスに染み込んだ"黒い雨"の跡を忘れることはなかった。それから3年の歳月が流れ、小学校2年生になったたづ(7歳)。母さちと母の父、一郎と共に、大阪に復員したまま、何故か戻らない父親(明男)との再会を待ち望んでいた。古い結婚観に縛られるさちは、不安と焦燥感に駆られ、たづの心の痛みを受け留めることがなかなか出来ない。呉の海軍(工場)を定年退職した一郎は、さちとたづを支えながら村の自立と発展に努める。平和になったとはいえ、戦争や原爆の影響が色濃く残る村には、原爆で父を失い、被曝の後遺症に苦しむ姉を慕う里江(7歳)や、戦争のトラウマで精神を病む父を支える徹男(7歳)、母を病気で亡くして独りぼっちの仙一(3歳)たちが、いわれのない差別や偏見に傷つきながらも懸命に生きていた。子どもたちが心を癒す唯一の楽しみは「紙芝居」だった。紙芝居屋の田坂も原爆で妻子を失い、自らも被曝の後遺症に苦しんでいた。子どもたちの笑顔に触れることは、田坂にとって癒されるひと時でもあった。ある日、たづは不思議な本と巡り会う。「二葉の里のものがたり」と書かれた本は、昔から広島の山や町を見守り続けている神様(イワガミ様)のお話で、人間と大地の関わりが美しく描かれ、生命が循環し、あらゆるものが生かし生かされている世界が綴られている。まるで、子どもに語る昔話のようにやさしく美しい言葉に、たづは魅せられていく…。
コラム・インタビュー・イベント
ニュース
作品データ
- 製作年
- 2012年
- 製作国
- 日本
- 初公開日
- 2012年12月8日
- 上映時間
- 73分
- 製作会社
- 「少女の夢」製作委員会(企画・制作 パオ)
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