リリー・ダミタ
Germaine
「頬は薔薇色」「おしゃれ牧場」のフランク・タトルが監督した映画で、ルネ・ベーテル、アンリ・ファルク合作の舞台劇「プゥシュ」に基いたエヴァリ・ホップウッド作の喜劇から「青春来る(1931)」のジョージ・マリオン・ジュニアと「明暗二人女」のベンジャミン・グレイザーが共同して脚色した。キャメラは「君とひととき」「私の殺した男」のヴィクター・ミルナーの担任である。主なる出演俳優は「戦う商隊」のリリー・ダミタ、「君とひととき」「のんきなおばさん」のチャールズ・ラグルズ、「アナベル情事」「君とひととき」のローランド・ヤング、「いんちき商売」のセルマ・トッド、映画初出演の新入社のケーリー・グランドでアーヴィング・ベーコン、クレア・ドッド等助演。
有閑紳士のジェラルド・グレイはパリでクレアという婦人と懇ろになった。彼は善良な男だったので彼女が自分にはスポーツマンの亭主があることを打明けた時には当惑した。そしてクレアが夫ステパンはオリンピック競技に参加するためにロサンゼルスへ出発したから二人でヴェニスへ行こうと言い出した。ジェラルドは乗りかかった船と覚悟を決めて、親友のバニーに切符を頼んで置いた。ところがステパンは行く途中で気が変わって飛行機でパリに引返したのでジェラルドの立場は困難になり、何うしても自分は妻帯者でクレアとはほんのお友達に過ぎないことを立証しなければならなくなった。やむなくバニーに頼んで活動女優を雇って妻に仕立てヴェニスへ赴く。クレアとステパンもヴェニスへ同じ列車で行った。バニーもジェラルドと同行した。ヴェニスの運河と月と船唄とのロマンチックな空気はジェラルドに仮女房シュウシュウに恋を抱かせる。しかし彼女がすれっからしの女優と思えば彼は無理にも自分の思いを押えつけた。一方クレアも浮気でジェラルドに懸想はしたが相手に綺麗なシュウシュウが食付いており、亭主も悪くはないと思えば自然ステパンがいいような気になる。一方バニーもシュウシュウには幾分心が動いた。そしてバニーが酔払って彼女を呼出しにバルコニーから入って、彼女の身の上話をきき本当はシュウシュウでなく純なジェルメエンという娘だと知って帰る時運河に落ちたので大騒ぎとなった。騒ぎにまぎれてジェルメエンは元の粗末な身なりでパリへ帰ろうとホテルを抜け出た。バニーからことの次第を聞き、仮女房が卑しい女ではないと知ったジェラルドはジェルメエンのゴンドラを追った。追付いて同じゴンドラの中で彼はジェルメエンを抱いた。月は二人を照らし彼に映えて輝いた。
Germaine
Bunny_West
Gerald_Grey
Claire
Stepan
Jacques
Chou-Chou
Studio_Official
Hotel_Clerk
[c]キネマ旬報社