日本で最初の影絵専門劇団「かかし座」の創立60周年を記念した三大都市での国内ツアーを追ったドキュメンタリー。数十種類の動物の姿を“手”の影絵だけで作り出す大胆かつ繊細なパフォーマンスに密着、バックステージの劇団員たちの様子も映し出す。監督は、本作が初めてのドキュメンタリー作品となる「火星のわが家」「凍える鏡」の大嶋拓。
ストーリー
2012年7月。日本で初めての影絵専門劇団として旗揚げされた「かかし座」創立60周年を記念する「Hand Shadows ANIMARE(ハンド・シャドウズ・アニマーレ)」の国内ツアーの稽古が始まった。団員歴20年を数えるベテランの飯田周一と石井世紀の二人と、まだ20代ながら実力派の菊本香代、櫻本なつみという布陣で東京・大阪・名古屋を回る。海外ではこれまで数々のフェスティバルで披露してきたステージだが、日本で連続公演を行うのは初めてとあってメンバー4人のテンションも高い。だが稽古は順調に進んでいくかに見えたが、劇団代表・後藤圭の演出は現状に満足することを拒み、作品をさらなる高みに引き揚げようとする。「初演の稽古の時は、新しい演目が作り出されると、我々自身も驚いていた。今はそういった発見に乏しくなっているんじゃないか」そんな後藤の言葉に、動物園に行ってその動きから何かを得ようとし、後輩への指導を通して初心を取り戻そうとしながら自問自答するメンバーたち。そんな中、ようやく作品の方向性が定まりかけた東京公演開幕前日、さらに後藤から新たな課題がメンバーたちに提示される。「今までと、全然違うことってできないか」この無謀とも思える提案に、彼らはどう応えるのか……。