中村勘三郎
小姓弥生/獅子の精
本作では2009年1月に『歌舞伎座さよなら公演 壽初春大歌舞伎』で上演された『春興鏡獅子』を収録。江戸城で舞を披露する小姓に十八世中村勘三郎が扮している。同演目は新歌舞伎十八番のひとつとして数えられ、十八世中村勘三郎が祖父・六世尾上菊五郎、父・十七世中村勘三郎から受け継ぎ、当人も特に大事にしてきたもの。2012年12月に他界した十八世中村勘三郎は野田秀樹や串田和美、山田洋次ら現代演劇の旗手や名監督と手を組んだり平成中村座やコクーン歌舞伎などを立ち上げたりと、新風を歌舞伎界に吹き込んだが、何よりも尊重したのは伝統だった。生涯17回にわたり演じた十八世中村勘三郎の『春興鏡獅子』の集大成と言える。
舞台は江戸城の大広間。新年の恒例行事・お鏡曳きの余興に小姓の弥生(中村勘三郎)が舞を披露する運びとなる。家老ら一同が待ち構える前に現れた弥生は、あまりの恥ずかしさに消えてしまいたい心地になりながらも、舞を始める。手踊りや習い覚えた踊りなど次々と舞を披露。そして祭壇に祀られた秘蔵の獅子頭を手にしたところ、弥生に獅子の精が乗り移り、荒々しい獅子の狂いを見せる。
小姓弥生/獅子の精
胡蝶の精
胡蝶の精
局 吉野
老女 飛鳥井
用人 関口十太夫
家老 渋井五左衛門
用人 関口十太夫
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