アクシル・アエイオウ・サムソン
トト
フィリピンのスラムを舞台に、上唇が裂ける先天性の障害を持ちながらも、夢に向かって進む少年の姿をコミカルに描いた物語。素人を中心に起用しながらも、生き生きとしたドラマに仕上げたのは、フィリピン出身のロメル・トレンティーノ監督。主演はオーディションで選ばれたスラム出身の少年、アクシル・アエイオウ・サムソン。
雑然としたフィリピンの下町で暮らす8歳の少年トト(アクシル・アエイオウ・サムソン)は、上唇が裂ける先天性の障害のため、うまく言葉を発音することができない。自分の名前も“トト”と発音できず、“ノノ”になってしまう。シングルマザーの母親グレンダ(アイアン・ガリグエス)は、知り合ったばかりの男を家に連れてきてしまう寂しがり屋だが、息子への愛情は人一倍。ニューハーフを含むユニークな友人たちに相談しながら、息子の幸せな将来を願って努力している。ある日、学校で自作の詩を朗読する同級生の姿に感動したトトは、自分でもやってみたいと思うようになる。厳しい先生の励ましを受け、友達や周囲の大人たちに支えられながら、懸命に詩を作り、覚えて学校のスピーチ大会に参加しようと決心するが……。
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