永山由里恵
黒瀬響子
「接吻」の万田邦敏監督と映画美学校のコラボレーションから生まれた作品。30歳目前のOLが多忙な生活に疲れ、偶然出会った男の家に転がり込んで犬の真似をして暮らし始める様子を通じて、現代の若者の孤独と倒錯した愛を描く。主演の永山由里恵と矢野昌幸を筆頭に、主な出演者を映画美学校アクターズコースの生徒で固めた。
犬って、なんか楽そう……。アラサーの響子(永山由里恵)は、出版社に勤めるブライダル雑誌の編集者。出勤途中、ガードレールに繋がれた犬を見て“フン!”と鼻を鳴らす。職場では、仕事の出来ない部下に囲まれ、仕事が積み重なってゆく毎日にうんざりしていた。仕事の合間に、微妙なフリーカメラマンから交際を迫られてもピンとこない。来るはずの生理もない。長く同棲している恋人からは籍を入れないかと言われるが、それも心に響かない。うんざりする日々の中、携帯電話まで壊れてしまう。訪れた携帯ショップで、客に怒鳴りつけられて土下座する店員の西森(矢野昌幸)に目を止めた響子は、彼に携帯選びを任せる。選んできた携帯を見て、それに決めた理由を尋ねるが、西森の答えは“理由なんてねーよ”だった。相変わらずの忙しさにぐったりとした帰り道、響子は上司に土下座させられている西森を見かけ、飲みに誘う。西森の家で酔った響子は、彼の空洞のような目にプライドのなさと無気力さを感じて突っかかる。だが、返ってきた言葉は“目の前に与えられたもので満足しとけ”。ふと思い付いたように、“犬になる催眠術”をかける西森に、犬のフリをして応える響子。その夜は西森の家で眠りにつく。翌朝、起こしに来た西森に響子は“ワン”と答え、部屋の中を四つん這いで歩き回る。会社に行くのをやめ、犬のフリを始めたのだ。最初は驚く西森だが、すぐに自分の飼い犬“ポチ”として受け入れる。餌を与え、遊び、じゃれ合う。犬としての盲目的な生活に浸る響子と、その姿に安らぐ西森。2人は、人間同士の犬と飼い主というおかしな遊びに没頭してゆくが……。
監督、編集
脚本
撮影
音楽
音楽
美術
美術
美術
衣裳デザイン
照明
録音、効果、整音
助監督
音楽監修
制作
[c]2013 THE FILM SCHOOL OF TOKYO
[c]キネマ旬報社