美術家、映画監督として“天皇制”をモチーフに数々の作品を発表してきた大浦信行(「天皇ごっこ 見沢知廉・たった一人の革命」)が、“靖国神社”をテーマに作り上げたドキュメンタリー。左派・右派を代表する弁護士の証言を記録した他、映画ならではのアプローチで、イデオロギーを越えて“誰も見たことのない靖国”を映し出す。
ストーリー
21世紀の今もなお、議論の的であり続ける“靖国神社”。ここには現在、246万余りの戦没者が合祀されている。静かに佇む社の地下には、夥しい人々の“血の海”が激しい怒りや悲しみを湛え、たゆたっている。靖国を巡っては、“歴史認識”、“政教分離”、“首相参拝”などの論点について、今も多くの意見が激しく対立している。本作には、合祀撤廃、政教分離を訴えた“ノー!ハプサ(NO!合祀)訴訟”でも弁護人を務める大口昭彦と、右派陣営の代理人弁護士として歴史認識問題や靖国問題、政治思想を巡る事件を数多く手掛ける徳永信一が登場。左派・右派を代表する弁護士の2人が、それぞれの“靖国への想い”を熱く語る。彼らの意見に耳を傾けることで、無数の死者たちの沈黙の声に誘われるかのように、様々な想いが軟体動物のように蠢く“靖国”の姿が浮かび上がってくる。