政治経験ゼロの新人候補・三宅洋平が、落選候補者最多となる17万6,970票を集めた2013年夏の参議院選挙を追ったドキュメンタリー。ミュージシャンとして活動を続ける三宅が、音楽と演説を融合させた街頭ライブ型選挙演説を“選挙フェス”と名付け、17日間26カ所を巡る“ツアー”に密着。監督・撮影・編集は「沈黙しない春」の杉岡太樹。
ストーリー
2013年7月、参議院選挙。この国の行方を占う注目の国政選挙の候補者として突如34歳のミュージシャン・三宅洋平が姿を現す。緑の党からの推薦を受けて全国比例区に立候補した三宅は、音楽好きの若者の間では知る人ぞ知る存在ではあったが全国的には無名に等しい。資金に恵まれることもなく、参議院選挙に立候補するために必要な供託金600万円も100日に渡る“ドサ回り”で集めた。公示当初は泡沫候補と揶揄された三宅の状況が一変したのは、彼がギターを鳴らしながら語る街頭演説が始まった時だった。ヒゲ面にTシャツ、短パン、島ぞうり姿の彼が、音楽と演説を融合させた街頭ライブ型演説を“選挙フェス”と名付け、17日間26カ所の“ツアー”を敢行。この前代未聞の選挙スタイルは祭りのような熱気を帯び、大きなうねりを起こし始める。三宅はイマドキの感性でネット選挙の強みを最大限までに拡張。彼の“演説”は集まった群衆のカメラやスマホに収められ、すぐさまネット上にアップロードされる。動画の再生回数は日を追うごとに伸び続け、それに対するリアクションがネット上での議論を呼び、三宅本人がTwitterやFacebookを使ってその中へ飛び込んでいく。彼が群衆に訴えかけたコール&レスポンス、政治参加へのアプローチ、その裏側には未経験の選挙に苦悩し、怒り、歓ぶ姿があった。そして結果的に三宅は、落選候補最多17万6,970票もの個人票を獲得する……。