松下華菜
鶴
津波により家族を失った幼い姉妹の心の再生を追ったドラマ。津波が襲った村を再び訪れた姉妹と死者が交わる様子を台詞なしで綴り、生も死も大自然の一部であることを描き出す。監督は数々のテレビドキュメンタリー番組を企画制作し、「ネムリユスリカ」やドキュメンタリー「夏の祈り」などの映画で逆境に生きる人々を取り上げてきた坂口香津美。チェリストの海野幹雄や作曲家・ピアニストの新垣隆が音楽を担当、詩的な映像に美しい旋律を乗せている。映画初出演の松下華菜と大久保妃織のほか、バレリーナや著述家として活躍する新倉真由美、「美しい暦」の白樹栞らが出演。
かつて沖をシロナガスクジラが行き交ったという村を大津波が襲い、多くの命が飲み込まれていった。津波で家族を失った11歳と8歳の姉妹は廃墟となったこの村に戻り、亡くした家族を探し、流された家を自分たちで再び作り上げようとする。やがて砂の中から家族との思い出を見つけていく二人。おなかをすかし疲れ果てた彼女たちの夢の中に亡き家族が現れ、二人に寄り添う。そして姉妹に再び永遠の別れが訪れる。
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