1970年代、当時としては異例であった黒人3兄弟のパンクバンド・Deathを追ったドキュメンタリー。監督は、ミュージックビデオなどを手掛けているジェフ・ハウレットとマーク・コビノ。2013年SXSW映画祭観客賞受賞作品。アリス・クーパーやヘンリー・ロリンズなどインタビューも収録。『未体験ゾーンの映画たち2016』で上映。
ストーリー
1970年代、当時としては異例中の異例であった黒人3兄弟のパンクバンド、Death。父の死後、死をテーマにしたスピリチュアルな本を何十冊も読んだ長男デイヴィッドは、「死は終わりではなく、始まりだ」という結論に到達し、この哲学がバンド名に反映されている。しかしデビュー前に改名するアーティストが多いなか、Deathはオファーを断る。レーベルとはモメるが、「何があっても家族を信じなさい」という父親の教えで育った兄弟は、デイヴィッドが改名に反対したことに一切口を出さなかった。当時のアメリカでは、黒人アーティストはモータウンからリリースという大前提があった。しかし、彼らのようなパンクバンドはラインアップにはいなかった。Deathの奏でるプロトパンクはThe ClashのクールさとThe Whoのアグレッシブさを併せ持ち、当時のパンクバンドには少なかったミドルテンポバラードを作ったのも彼らの特徴だった。デイヴィッドが書く歌詞も、パンクでは少ない優しさと温かみを感じさせる。彼らは革命的なサウンドを生み出したが、報われない運命をたどった。しかしその後、奇跡が起こる。